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介護保険で「できないこと」 60代女性 |
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介護保険では対応できないことがあると聞きました。具体的に教えてほしいです。
桐山 典悦 |
介護保険サービスは、要介護認定を受けた65歳以上、もしくは40歳〜64歳の人は介護保険で定める16種類の特定疾病があり介護が必要な状態であれば利用できます。また、介護保険サービスを利用する際の自己負担は、所得に応じて変動し1割〜3割となります。残りの費用については、介護保険の財源である介護保険料と国や自治体の公費で賄われています。要支援や要介護といった要介護度などによって、利用できるサービスの種類や時間が厳密にルール化されています。
さらに介護保険サービスでは、「できること・できないこと」に明確な線引きがあります。実際に介護保険サービスを利用する際は、ケアマネジャーと相談し具体的に何を利用するのかケアプランにまとめていきます。そのため、詳しくはケアマネジャーに確認することをおすすめしますが、今回は介護保険サービスでは「できないこと」の代表的な事例をいくつかご紹介します。
1つ目は「散歩や趣味への付き添い・外出介助」です。介護保険では日常生活に支障が出ない行為についてはサービスを提供できません。そのため、基本的に散歩の付き添いは不可能です。また、趣味嗜好(しこう)に関する外出の付き添いも利用できないため、映画やコンサートや美術館への付き添い、旅行中の介助もお願いすることはできません。
2つ目は「大がかりな家事援助」です。日常生活に必要な範囲の家事(簡単な掃除や調理など)は介護保険の対象となりますが、大掃除や庭の手入れ・窓ふき・家具の移動などは含まれません。これらは日常的な家事の範囲を超える行為とみなされるためです。
3つ目は「同居家族の援助につながる家事支援」です。具体的には、同居する家族分の洗濯や調理、介護保険の利用者本人が使っていない部屋の掃除などが挙げられます。あくまでも介護保険サービスは、利用者本人が対象となります。
4つ目は「通院付き添い」が実質的に難しいことです。自宅から病院までの移動を付き添いすることはできますが、病院内での付き添いは対象外となっています。そのため、介護ヘルパーが病院内の移動介助をしたり、一緒に待合室で待ったり、診察室で医師の話を聞いたりすることはできません。このように介護保険サービスでは付き添いに制限があるため、結局は家族が対応しなければならないことが多いです。
介護保険サービスで対応できないものは、今回挙げたもの以外にもたくさんあります。もし介護保険サービスだけでは解決できない困りごとがあれば、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談するほか、自治体が提供する福祉サービスや介護保険外の自費サービスなどを活用することで、お悩みを解決できるかと思います。
((株)クラウドケア取締役COO・介護福祉士 桐山典悦)
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