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  埼玉版 令和7年7月号  
「舞台は一期一会」  女優 音無美紀子さん

音無美紀子さんが健康のため特に心掛けているのが食事だ。「物理的に無理なときはしようがないですけれど、できるだけ外食せずに『自宅飯』を作っています」と話す。メニューは偏らないように和洋中なんでも。その手際の良さはプロ級だ。料理の内容は、動画共有サービスYou Tube「音無美紀子と村井麻友美のお料理しましょ!」で公開中
8月上演「鬼灯町鬼灯通り三丁目」に出演
 半世紀を超える女優歴の音無美紀子さん(75)は、「観客との一期一会の出会いを大切に」という思いで毎回、舞台に上がっているという。そんな音無さんが、戦後80年の節目となる今年、戦後の混乱期をたくましく生きた人々をユーモアたっぷりに描く悲喜劇「鬼灯(ほおずき)町鬼灯通り三丁目」に出演する。戦死したと思っていた夫が終戦の翌年に帰ってきてなぜか慌てふためく人々—。「戦争の記憶が薄らいでいく中で、『こんな時代があったね』って感じてもらえるような作品です」と話す。同作は、8月29日から上演される。

 「鬼灯町鬼灯通り三丁目」は劇団桟敷童子(さじきどうじ)代表の東憲司の作・演出。東の作品には「にっぽん男女騒乱記」(2018年)、「阿呆ノ記」(24年)などに続き、今回が4作目の出演となる音無さん。「東さんの作品には、深刻な話をコメディーのように描くという独特の持ち味があります。今作も、シリアスな話なんですけど、それぞれの役が個性的で、とても面白いんです」。「鬼灯町〜」は08年初演、10年に再演しているが、音無さん出演の今回も大仕掛けの演出ではなく、人間の心の葛藤に焦点を絞って掘り下げた内容になっている。

 物語は、終戦間もない1946(昭和21)年、戦後最大級の引き揚げ港・博多(福岡市)の「ある町」での話。中国へ出征した夫・松尾大吉戦死の知らせが届き、夫の葬式を済ませた妻の弥生。戦争のどさくさで大吉と結婚してしまった彼女は、「今度こそ添い遂げよう」と、初恋の人・番場裕介の復員を「今か今か」と待っていた。ところが帰ってきたのは、死んだはずの夫・大吉だった。思わぬ展開に弥生は絶望に打ちひしがれるが、初恋の人への思いも断ち切れない。大吉と弥生、それに居候していた裕介の母親・鶴恵とその友人・鍋島小梅の4人は、鬼灯に囲まれた大吉の家で、それぞれの思いを抱えながら共同生活を始めるのだった…。

 この舞台で「息子を戦争にとられた」と嘆きつつも、したたかに生きる裕介の母親・鶴恵を演じる音無さん。「終戦当時、戦争で生活が大きく変えられた人たちは多かった。私もこれまでそんな家族の役を何本かやっています」と話す。

「舞台は生もの」
 音無さんは「ポーラテレビ小説 お登勢」(71年)でヒロインのお登勢に抜てきされてデビュー。その後、石井ふく子プロデュースによるホームドラマやNHK大河ドラマなどに出演。最近は舞台での活躍が目立っており、文化庁芸術祭優秀賞などを受賞した「風を打つ」(2019年)や、読売演劇大賞優秀女優賞を受賞した「つきかげ」(24年)などに出演している。

 これまでさまざまな舞台を踏んできた音無さん。そんな彼女にとっても、舞台は何が起こるか分からない場所だという。「舞台は生もので、1日1日変化があります」。毎日同じ役を演じていても、日によってどうしても演技に「むら」が出てくるが、「それは共演者の皆さんも同じで、同じ動き、せりふを話していても(芝居の出来は)違ってくる。それが面白さでもあるんです」。舞台ではこれまで“失敗”したことも「数限りなくあった」という音無さん。それだけに、舞台に出演するときは、「俳優とお客さんとの出会いは一期一会だと思って演じています」と話す。

 音無さんが女優への道を歩み始めたのは高校2年生のとき。東京・大田区に両親と6人姉妹の子どもたちとで住んでいたが、近所付き合いをしていた7歳年上の地井武男が俳優としてデビュー。「子どものころから歌や踊り、映画を見るのが大好きだった」という音無さんは地井に「私も女優になりたいんだけど」と相談すると、「こんなところがあるよ」と教えられたのが劇団若草だった。6人姉妹の四女に生まれ、姉たちとの生存競争の中で子どものころから“目立ちたがり屋”だったという音無さん。地井から教えられた同劇団に入団し歌やバレエ、日本舞踊などを学ぶ一方でオーディションを受け、次第にドラマに出演するようになっていく。

家族や仲間と共に
 76年に俳優の村井國夫と結婚し、一男一女に恵まれた音無さん。来年は結婚50年の節目。38歳のときに乳がんを患い、その後うつ病になるなどさまざまな苦労もあったが、「子どものためにも私は生きなきゃいけないんだ、と思うことで乗り越えることができました」と、家族に感謝する。娘の村井麻友美も女優として活動する芸能一家だ。

 そんな家族や同じ志を持つ仲間たちと取り組んできたのがチャリティー活動の「音無美紀子の歌声喫茶」。2011年3月に起きた東日本大震災の被災者を勇気づけるため、毎年開催を目標に開いてきた同活動も今年で14年目。「これまで東北各地で開いた歌声喫茶の回数は120回を超えています」と音無さん。「最初は下を向いていた人も、最後は一番大きな声で歌うようになるのを見ていると、私たちも励みになります」。今や、同活動は音無さんにとって女優に次ぐライフワークとなっている。

 女優、妻、母として懸命に生きてきた音無さんだが、デビュー以来ずっと「女優の仕事は自分にとって天職」だと思い続けてきたという。「役者に定年はありません。だから日頃から健康に留意し、いつ仕事の依頼が来てもいいように準備しています」。これまで恵まれた女優人生だったと思う一方で、「女優としてやってきた仕事に満足はしていない」とも—。「これからも前に進まなきゃと思っている」という音無さん。そんな気持ちで「鬼灯町〜」の舞台に臨む。

「鬼灯町鬼灯通り三丁目」
 8月29日(金)〜9月4日(木)、赤坂レッドシアター(地下鉄赤坂見附駅徒歩3分)で。全7公演。

 作・演出:東憲司、出演:音無美紀子、有森也実、森川由樹、浅井伸治。

 全席指定席。一般前売り6000円、同当日6500円、シニア(60歳以上)5500円(前売り、当日とも)。

 問い合わせはトム・プロジェクト Tel.03・5371・1153

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