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  東京版 令和7年5月下旬号  
“上方の風”を“東”へ送る  舞台俳優 曽我廼家寛太郎さん

大阪から東京に移り住んで26年目になるという曽我廼家寛太郎さん。商人の町として発展してきた大阪と、武士が中心だった東京の違いについてこう話す。「物を買うとき、大阪は安く買ったと自慢しますが、東京は高いものを買ったと自慢する傾向があると思います」。ただ最近は、大阪でも“値切りの文化”が薄らいできたとも
前進座歌舞伎「裏長屋騒動記」に出演
 映画「男はつらいよ」シリーズの山田洋次監督が監修・脚本を担当した前進座歌舞伎公演「裏長屋騒動記」が、30日からサンシャイン劇場で上演される。同作は、落語をもとに山田監督が書き下ろした人情喜劇。江戸の町を舞台に繰り広げられる同劇の目玉となるのが、大阪の松竹新喜劇で活躍する曽我廼家(そがのや)寛太郎さん(66)だ。山田監督から“ご指名”を受けて前進座の舞台に初出演する寛太郎さん。「指名に応えるためにも、自分なりにきちっとやらせてもらいます」。江戸の舞台に上方の持ち味で新風を吹き込もうと、意欲を見せる。

 舞台「裏長屋騒動記」は、落語が大好きな山田監督が落語「らくだ」と「井戸の茶碗」をもとに、前進座のために書き下ろした戯曲で、2017(平成29)年に国立劇場で初演され、今回は再演となる。江戸・芝新網の裏長屋に住む、貧しくも善良な庶民とプライドの高い侍たちが巻き起こすドタバタ劇だ。劇中で曽我廼家寛太郎さんが演じるのは「らくだの馬」。「らくだの馬というのはあだ名なんです。当時は飲んだくれて博打(ばくち)ばかりしている男のことをそう呼んでいたそうです」

 寛太郎さんは、これまでに山田監督が演出した松竹新喜劇の舞台「大阪の 家族はつらいよ」(19)や、同監督の映画「キネマの神様」(21)に出演。そのときの演技が買われてか、初演では江戸っ子だった「らくだの馬」が今回、山田監督によって「上方から流れてきた男が、江戸の裏長屋で騒ぎを巻き起こす」という設定に変わり、寛太郎さんに声が掛かった。「こうして(山田監督から)使っていただけるのは光栄なことだと思っています」と話す寛太郎さんから見た、山田監督の演出はというと…。「絵面(えづら)も含めて、監督のイメージがきっちりと緻密に組み立てられている。その中で、役者が変に如才ない演技をすると『それはリアルじゃないよ』と言われます」。寛太郎さんは、「リアルに見えるためにはどうしたらいいか」と考えて役作りを心掛けているという。

 寛太郎さんは1958(昭和33)年、大阪市に住むサラリーマンの家庭に生まれた。「上から女、男、女、男の4人きょうだいの末っ子でした」。小学生のころから学校で同級生や先生を笑わせるのが好きで、漫才師に憧れていたという。「酒を飲んだ父が家の中で暴れてちゃぶ台をひっくり返し、その横で母がすすり泣いていたりして、笑いの少ない家庭でした。そのうっぷんを晴らそうという気持ちがあったのかもしれません」。長ずるにつれ漫才師から落語家、そして舞台俳優へと志望は変わり、「芝居の勉強がしたい」と大阪芸術大学舞台芸術学科へ入学。先輩たちが、卒業して文学座や俳優座など新劇の著名な劇団に入っていたこともあり、学生時代は新劇の舞台を熱心に見て回ったという。だが卒業が近づくにつれ、寛太郎さんは芸術志向が強い新劇の世界に違和感を覚えるようになった。

 そんなある日、大学の掲示板に張り出された「松竹新喜劇劇団員募集」の張り紙が目に留まる。同劇団の看板俳優で、“昭和の喜劇王”藤山寛美の顔がすぐ頭に浮かび、「寛美さんといえば年間所得番付でいつもトップの人。一流のものを持っているに違いない」と面接を受けることに。その面接での寛美の言葉が、それ以降の人生を決定づけた。寛美は言う。「松竹新喜劇という世界は、歌舞伎と違って家柄や家庭環境とかは関係おまへん。あんさんが舞台の上で汗をかいて頑張った分、舞台に落ちてるお金を拾うことができまんねん」。このときの寛美の言葉は今も体の中に入っていると寛太郎さん。「要は実力主義ということです。大学で4年間勉強してきた新劇の世界とは全く違うけれど、寛美さんをそばで見るのも長い人生で損はないと思い、『よろしくお願いします』と返事しました」

次世代に芸を伝承
 81(昭和56)年5月に面接を受けて、6月には松竹新喜劇の舞台に立った寛太郎さん。初任給は月8万円だった。当初は本名で舞台に出ていたが、1年後、「曽我廼家寛太郎」に改名する。「明治37年に日本で初めて喜劇専門の劇団を作ったのが曽我廼家五郎、十郎です。昭和世代の私らは曽我廼家五郎八や曽我廼家明蝶をテレビでよく見ていました。そんな歴史ある喜劇の名跡を私にくれるとは、驚きました」。下の名前は寛美の1字をもらった。

 「寛美先生には(亡くなるまでの)9年間教えてもらいました。舞台稽古ではダメ出しに次ぐダメ出しで、『もっとしっかりせい』とよく言われましたね。当時は1年間で約60本もの舞台をやりましたから、9年間で約540本もダメを出されたことになります」

 来年には、初舞台から数えて45年になる寛太郎さん。「あと25年ぐらいは第一線で頑張りたいと思っています」。同時に、松竹新喜劇の中で大ベテランとなった今、「劇団の後輩たちに自分の芸を伝えていきたい」という気持ちも。「芸の伝承は見て覚えるしかない部分がありますのでね。私も舞台袖から寛美先生の芝居を見てきました。それだけに、見るに値するだけの芝居を後輩たちの前でしないとな、と思っています」。今回の「裏長屋騒動記」は、そんな思いで演じる寛太郎さんの芸を、東京の観客に見てもらう絶好の機会となる。

前進座歌舞伎公演「裏長屋騒動記」
 30日(金)〜6月8日(日)、サンシャイン劇場(サンシャインシティ 文化会館4階、地下鉄東池袋駅徒歩5分)で。全11公演。

 監修・脚本:山田洋次、演出:小野文隆、出演:柳生啓介、嵐芳三郎、河原崎國太郎、玉浦有之祐、松宮美菜、武井茂、曽我廼家寛太郎(松竹新喜劇)ほか。全席指定。一等席1万500円、二等席6000円、三等席4000円、特等席1万2000円(限定24席)。なお、6月6日(金)午後6時半開演の夜の部は特別料金一等席6000円、二等席3000円。

 問い合わせは前進座チケット専用 Tel.0422・49・0300

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