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  東京版 令和7年4月上旬号  
演劇は人生の“白米”  俳優 佐藤B作さん

演劇に取り組んでいると体調がよくなると佐藤さん。76歳の今も演劇のための体づくりとして体操をやり、ご飯もいっぱい食べ、せりふを覚えるために脳も使う。「肉体、精神とも健康でないといい演技はできませんよね。やはり健康が一番です。でも舞台が終わればいつも、体操もやらず怠け人間になってしまいます(笑)」。また、今後の「劇団東京ヴォードヴィルショー」に関しては、「日本の演劇史をひもとき、現代に再び日の光を当てたくなるような戯曲を発掘してみたいですね」。〈ヘアメイク:大澤慶子(JOUER)〉
5月に舞台「陽気な幽霊」に出演
 老舗演劇集団「劇団東京ヴォードヴィルショー」の主宰者として、また舞台はもとよりテレビのドラマやバラエティー番組、映画などでも活躍する俳優の佐藤B作さん(76)。喜寿を目前に控える現在もさまざまな役柄を熱演している。5月にはシアタークリエで上演される往年のウエルメード・コメディー劇「陽気な幽霊」に出演。冷静で温かい性格の医師を演じる。「僕にとって演劇は、『人生の“白米”』」と佐藤さん。「白米が好きで、お米がなければ食事をしても満足できない。人生も、演劇にそのつど全力で臨むからこそ充実した日々が送れているのだと思います。今回の舞台も、今の自分の全力を出し切って挑むつもりです」

 佐藤さんが出演する舞台「陽気な幽霊」は、20世紀英国を代表する劇作家ノエル・カワードの傑作戯曲。小説家のチャールズは、再婚した妻ルースと暮らしている。ある日、小説の取材のため霊媒師アーカティ夫人を呼び、かかりつけの医師ブラッドマンとその夫人を招き降霊会を催すと、7年前に亡くなった前妻エルビラの幽霊が降臨。夫をめぐり新旧2人の妻の嫉妬と意地が渦巻く—。「男1人を挟み、霊媒師を含む女性3人がバトルを繰り広げる喜劇です」と佐藤さん。「観劇された皆さんにはご自身の家庭を振り返っていただきたい。劇に比べいかに幸せな家庭か再認識できますよ(笑)」

 同劇で佐藤さんは、自身の実際の妻で女優のあめくみちことともに仲むつまじい医師夫妻を演じるが、現実でも夫婦の絆は固い。17年前、佐藤さんはがんを患い死を覚悟したが、あめくの懸命の看護で生還した。「普段は怖い人だが、何かあると頼りになる人。本当に感謝しています」。しかし、実は佐藤さんも同劇の主人公と同様、前の妻を不幸な事故で亡くしている。「前妻がもし、劇と同様に幽霊として佐藤さんの前に現れたら?」との質問には、にこりと笑って答えてくれた。「それはうれしいですね 」

 さらに、佐藤さんはこう続ける。「今の奥さんをもちろん愛しています。でも今の世の中は嫌なことばかり。前の奥さんに誘われたら、さっさとあの世に行って昔話に花を咲かせるでしょうね(笑)」

小学校で演劇に遭遇
 佐藤さんは1949年、福島県出身。演劇との出合いは、小学校4年で入部したクラブ活動だ。「先生が厳しく、稽古でうまく演技できず泣いて帰ることもしょっちゅうでしたが、本番の学芸会では近所のおじさんおばさんが褒めてくれるんです。これがうれしくて、卒業まで続けました」

 中学時代はブラスバンドに熱中したが、高校では上京したい一心で、大学に入るため勉強一筋に。晴れて早稲田大学に入学すると演劇熱が再燃し、学生演劇「劇団木霊」の門をたたく。「小学生のときの体験が忘れられなかったのでしょう(笑)」

 しかし、当時は学生運動の嵐が吹き荒れており、佐藤さんもいや応なく巻き込まれる。いやいやデモに参加させられ、機動隊に捕まったことも。佐藤さんは今も昔もノンポリだ。特定の思想を発信するため演劇を利用することはないというが、「世の中にあふれる不平不満には常にアンテナを張っています。演劇は社会を映す鏡。政治や世界情勢への視点はどうしたって必要です」。

 プロの俳優を本格的に目指すため、大学は中退。当時の演劇は、寺山修司の「天井桟敷」、唐十郎の「状況劇場(紅テント)」など、前衛劇が真っ盛り。佐藤さんもこの新しい波に憧れ、「黒テント」の一角を成した「自由劇場」を志望するも養成所試験に落ち、何とか裏方として入団する。後に正式な研究生として認められるが、波乱含みの俳優人生の幕開けだった。「佐藤B作という芸名は、裏方時代に本名の佐藤姓と当時首相だった佐藤栄作さんにちなんでつけられたあだ名でした」

 福島県での地方公演では出身を買われ、チケットの販売を担当。「昔なじみのおじさんおばさんにチケットを買ってもらい見に来てもらいましたが、難解な前衛劇にみんなぽかんとしていました。後ろめたかったですね」

24歳で劇団旗揚げ
 この経験が独立につながる。「誰でも楽しめる軽演劇(ヴォードヴィル)をつくりたい」。24歳のとき、有志の仲間と「劇団東京ヴォードヴィルショー」を立ち上げる。旗揚げに際し掲げたのは、当時テレビをにぎわせていた「横山やすし・西川きよし」ら、関西漫才の笑いを演劇に取り入れること。同劇団はみるみる人気を博し、つかこうへいや野田秀樹の劇団としのぎを削り合うほどに。さらにテレビ局の目に留まり、佐藤さんはテレビや映画で活躍の場を広げていく。

死を覚悟で公演貫徹
 がんが発覚したのは2008年の地方公演中だった。「今すぐ手術しないと死ぬぞ!」との医者の忠告を振り切り、1カ月の公演を終えた後に手術を受けた。「さまざまな人の労苦で成り立った公演を、主宰者が個人的な理由で中止にできません。当然死を覚悟したのですが、なぜか生き残ってしまいましてね(笑)」

 喜寿を前にした佐藤さんだが、新しい挑戦を考えている。「一人芝居をやってみたいです。『演劇はチームプレー』の信念に反しますが、新しいステージを探し今後も全力で挑んでいきたいですね」

「陽気な幽霊」
 5月3日(土・祝)〜29日(木)、シアタークリエ(地下鉄日比谷駅徒歩2分)で。全27公演。

 作:ノエル・カワード、演出:熊林弘高、出演:田中圭、若村麻由美、門脇麦、天野はな、あめくみちこ、佐藤B作、高畑淳子。

 全席指定1万2000円。問い合わせは東宝テレザーブ Tel.0570・00・7777

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