定年時代
定年時代はアクティブなシニア世代の情報紙
ASA(朝日新聞販売所)からお届けしています
会社概要 媒体資料 送稿マニュアル
広告のお申し込み イベント お問い合わせ
個人情報保護方針 サイトマップ  
HP更新日 → 新聞発行日の翌々日(水曜日)
新聞発行日 → 第1月曜日:東京/埼玉/千葉/横浜・川崎/茨城
  第3月曜日:東京
トップ 東京版 埼玉版 千葉版 横浜・川崎版 茨城 高齢者施設 プレゼント
旅行 | おすすめ特選ツアー | 趣味 | 相談 |  | 仕事 | 学ぶ | これは便利これは楽々 | リンク | インフォメーション
定年時代
 
  東京版 令和7年8月下旬号  
ビオラの神髄 独奏で伝える  ビオラ奏者 川本嘉子さん

川本さんは仕事や人との出会いを大切にしている。「依頼された仕事は基本的に全て受けています」と話し、人との付き合いでも音楽関係以外の、例えばお笑いタレントとの食事会なども時間があれば断らない。「会ってみると、テレビの印象とは違ってすごく思慮深い一面を持つ人もいます。そんな人柄に触れ、感銘を受けたことがあります」
9月18日にリサイタル「無伴奏の世界」
 弦楽器の中でメロディーラインを奏でるバイオリンを支え、「縁の下の力持ち」的存在のビオラ。そんな地味な楽器が主役に—。9月18日に浜離宮朝日ホールで開催する「第4回 無伴奏の世界」でビオラ奏者の第一人者、川本嘉子さん(59)が無伴奏ソロリサイタルに挑戦する。「バッハのほか、細川俊夫ら日本の現代音楽家の作品を演奏します」と川本さん。バイオリニストからビオラ奏者に転向した音楽家として、「『ビオラってすてきだな』と思ってもらえればうれしい」との願いを込めて演奏する。

川本さんは、東京都交響楽団(都響)で首席ビオラ奏者を務めた後、マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)やユーリ・バシュメット(ビオラ)ら世界の一流ソリストと共演し高い評価を得るとともに、ソリストとしても数々の著名指揮者と共演するなど、国内外で活躍している。

 そんな川本さんも、ビオラ独奏によるリサイタルはそんなに経験がない。ピアノやバイオリンなどに比べビオラのために書かれた曲が少ない状況にある中、今回、親しみやすくバラエティーに富んだ選曲になるよう工夫した。バッハの「無伴奏組曲」のほかには細川俊夫「私を泣かせてください」、西村朗「『鳥の歌』による幻想曲」、権代敦彦「テロス」など、ポピュラー性のある現代作品を組み合わせた。川本さんは「よく知られている曲や聞きやすい曲、心にしみるような曲のほか、躍動感が伝わるような曲で構成しました」と話す。

バイオリンから転向
 1966年、名古屋市に生まれた川本さんは、わずか3歳のころからバイオリンを習い始めた。近所にあった「スズキ・メソード(才能教育研究会)」のバイオリン教室に通い、バイオリンに触れるうちに「音楽が大好き」になり、その後、桐朋学園大学を卒業するまでには、自然とバイオリニストを志すようになっていた。

 そんな彼女は91年、都響に入団したのを機にバイオリンからビオラ奏者に転向する。バイオリニストを目指す若者は多く、音楽の才能に恵まれた者同士の競争は激しい。「人一倍負けず嫌いな性格」の川本さんは、「才能ある人が努力していると思うだけで毎日、焦燥感に襲われていました」と大学当時の精神状態を振り返る。そのころレッスンを受けていたビオラ奏者・今井信子の下でビオラを弾いていると、音楽の世界にひたすら没頭できる「自分」を発見し、ビオラへの転向を決めた。

 もう一つの転機は、99年からビオラの首席奏者を務めていた都響を退団したことだ。川本さんは、あるとき、NHK交響楽団の元チェロ首席奏者で親交のあった徳永兼一郎と都内でばったり出会い、運命が変転する。すでに末期がんで車いす生活だった徳永は「都響で何年弾いているのか」と聞いた後、「それ以上都響にいたら、一生オーケストラに身を置き続けることになる。さまざまな活動を望むのであれば、そろそろ(退団を)検討してもいいのではないか」とアドバイスしてくれた。在団5年だった川本さんはその後も都響での演奏を楽しんでいたが、薫陶を受けていた徳永の言葉が心に残り、2002年に都響を退団する。

「次世代に伝えたい」
 都響を辞めてからは、フリーのビオラ奏者として国内外に活躍の場を広げてきた川本さん。その活動はソロから室内楽、オーケストラまで多岐にわたる。そんな彼女が今後、特に注力したいと考えているのは次世代の音楽家育成だ。

 かつて参加していたフェスティバルや室内楽セミナーなどを主催していた指揮者・小澤征爾に、音楽家として多くのことを学んだ川本さん。「世界のオザワ」と呼ばれている人が学生に接している態度を見て、「傲慢(ごうまん)さがなく自然に振る舞うところが小澤さんの出す音の要素になっていると思った」。

 小澤の影響もあって指揮法にも興味を持ち、一時期、指揮者に師事した川本さん。すると、曲全体から俯瞰(ふかん)してビオラの役割を捉えられるようになり、演奏が楽になった。こうした経験も含め、「自分がやってきたことや学んだことを次の世代に伝えられるときが来たら、尽力したい」と考えている。

「無伴奏の世界」
 9月18日(木)午後7時、浜離宮朝日ホール(地下鉄築地市場駅すぐ)で。

 予定曲は、細川俊夫「ヴィオラ独奏のための『私を泣かせてください』(ヘンデル原曲)」、J.S.バッハ「『無伴奏組曲』第1番、第2番、第6番(ビオラソロ)」、西村朗「ヴィオラ独奏のための『鳥の歌』による幻想曲(ファンタジア)」、権代敦彦「『テロス』ヴィオラのための」。

 全席指定。一般4400円、学生2200円。問い合わせはミリオンコンサート協会 Tel.03・3501・5638

ポイントページの先頭へ
東京版
最新号
→ 令和7年過去の記事一覧
→ 令和6年過去の記事一覧
→ 令和5年過去の記事一覧
→ 令和4年過去の記事一覧
→ 令和3年過去の記事一覧
→ 令和2年過去の記事一覧
→ 令和元年過去の記事一覧
→ 平成31年過去の記事一覧
→ 平成30年過去の記事一覧
→ 平成29年過去の記事一覧
→ 平成28年過去の記事一覧
→ 平成27年過去の記事一覧
→ 平成26年過去の記事一覧
→ 平成25年過去の記事一覧
→ 平成24年過去の記事一覧
→ 平成23年過去の記事一覧
平成22年過去の記事一覧
平成21年過去の記事一覧
平成20年過去の記事一覧
平成19年過去の記事一覧
   
定年時代読者のためのおすすめ特選ツアー
 
 
定年時代
トップ | 会社概要 | 媒体資料 | 送稿マニュアル | 広告のお申し込み | イベント | お問い合わせ | 個人情報保護方針 | サイトマップ
当ホームページに掲載されている全ての文章、写真、イラスト等の無断複製・転載を禁じます。
Copyright Shimbun Hensyu Center Company. ALLrights reserved.