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毎日が楽しくない 台東区/85歳女性 |
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コロナがインフルエンザ並みの扱いになったとはいっても、高齢者は感染すると若い人より重症になりやすいといわれています。
まだ私は人混みには出掛けたくないですし、昔のように友達と長くおしゃべりすることもなくなりました。何の楽しみもない毎日です。
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中村寿美子 |
女性の平均寿命が87歳を超え、しかも87歳は若々しい高齢者が多いですね。どんなことを楽しみととらえるのかは、一人ひとり違うでしょう。外出するのがうれしいと思う人もいれば、親しい友人とおしゃべりするのが一番楽しいという人もいます。毎年、増え続けている一人暮らしですが、「独りになって寂しい…」と嘆く人や、「一人暮らしは気ままで最高!」とほほ笑む人など、同じ一人暮らしでもさまざまです。
ここに「楽しさのリスト70項目」という一覧表があります。これは、私が20数年前に「余暇生活開発士」という仕事をしていたときの資料なのですが、現在のようにセンテナリアン(100歳以上の長寿者)が9万人以上という長寿社会にふさわしい楽しさが列挙されています。「しがらみから解放され自由になる楽しさ」「他人に振り回されないで一人でいる楽しさ」「空想する楽しさ」「思い出にひたる楽しさ」「時間に左右されないで一人で過ごす楽しさ」「眠る楽しさ」…。
残りの人生をどう過ごしたら良いのでしょうか。それは十人十色であり、模範解答はありません。要は充実感がある24時間を過ごすことに尽きます。ある女性は早起きをして公園で開催されるラジオ体操に行くそうです。顔見知りの人と言葉を交わして「今日も良い一日になりそう」と気持ちが安らぐといいます。また、90歳近い男性は朝食後に2時間以上かけて新聞を隅から隅まで読み、昭和・平成・令和と生き抜いている自分をほめているそうです。
特別なことではなくて気持ちの持ちようで、楽しさの感じ方は変化します。同じことを体験しても、面白かったと思う人や、つまらなかったと感じる人もいるのが世の中でしょう。日常を肯定的にとらえて、小さなことでも楽しみを見つけてみませんか。何をもって楽しいと感じるのかは、自分だけにしか分からない感情なのです。何の楽しみもない毎日とのことですが、案外、他人からは「お幸せな人」と見られているのかもしれませんよ。
(介護コンサルタント
中村寿美子) |
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