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ホームに入りたくない 世田谷区/81歳女性 |
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コロナ禍で高齢者の自粛生活が長引いているというのに、次々と有料老人ホームが増え続けているような気がします。最期まで自宅で暮らしたいと願っている高齢者が多いと思うのですが、老人ホームは増えているようです。私自身は老人ホームには入りたくありません。最期まで自宅で暮らせるでしょうか?
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中村寿美子 |
確かに老人ホームが増えていますが、老人ホームにも種類があります。公的な介護施設には4種類あり、その中の「介護療養型医療施設」は廃止と決まってからも延長が続いている状況です。そして、それに代わる「介護医療院」の新設は少ないのが現状です。
一方で、増え続けているように思われるのは、民間経営の有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)です。政府の方針は「入院から在宅へ」です。現在、その対策として「地域包括ケアシステム」の準備が始まっています。2014年に「医療介護総合確保推進法」が制定されて各自治体が進めていますが、コロナ感染対策が優先されて思うようには進んでいない状況です。
その内容は、地域包括支援センターが中心となってケア会議を行い、医師・看護師・介護ヘルパー・ケアマネジャー・薬剤師などがチームで在宅の高齢者を支えて、「最期まで入院することなく介護施設にも入所しないで自宅で暮らす」という施策です。
民間が運営する高齢者の住まいには「介護付有料老人ホーム」「住宅型有料老人ホーム」「サ高住」などがありますが、その中の「介護付有料老人ホーム」は都道府県が認可して指定を受けた「特定施設入居者生活介護」で、サービス内容と1カ月の介護保険の自己負担額が介護度ごとに定額になっています。
一方「住宅型」と「サ高住」は介護保険では自宅扱いになります。要は有料老人ホームを含む自宅で最期まで過ごしてください、というのが「地域包括ケアシステム」なのです。それ故、団塊の世代が後期高齢者になることを見越して、企業が有料老人ホームを次々と建て増しているのだと思います。
最期まで自宅で暮らすには、一日中、いろいろな人が何回も出たり入ったりすることになり、その費用も高額になることを覚悟しなければならないでしょう。
(介護コンサルタント
中村寿美子) |
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