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老人ホームの現状は? 町田市/73歳女性 |
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最近、老人ホームに入った知人らの情報では、毎月の諸費用が特養で約25万円、介護付有料老人ホームが約23万円と聞きました。公的な介護施設の方が高額ということにビックリです。特養の待機者が全国で50万人以上という時代があったと記憶していますが、今年(令和4年)の現状を教えてください。
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中村寿美子 |
介護施設や有料老人ホームの利用に関する諸費用は、施設によって内訳が異なります。食費、居住費、介護保険の自己負担金、日常生活費、医療費などになりますが、介護保険の自己負担分に関しては、介護度ごとに1割負担、2割負担、3割負担と所得に応じて負担額が変わります。
介護保険制度が始まって22年目になります。その間3年ごとに法改正で見直しがあり、特養は入居条件が要介護1から要介護3になりました。新しく開設される場合は、ユニット形式(10人程度の少人数のユニットで介護サービスを提供)になっています。そのユニット形式の居住費と従来型の居住費では、大きな差が生まれています。さらに、介護保険施行当初は、利用者は誰でも自己負担割合が1割負担でしたが、現在は年間所得が280万円以上では自己負担が2割負担に、340万円以上では3割負担となっています。特養であっても個室と多床室では居住費に差が大きく、一般論では参考にはならないのが実情です。
さらに2021(令和3)年度の法改正で補足給付の条件が変わり、年間所得が少なくても預貯金があると食費と居住費が全額自己負担になり、自己負担額が増えてしまう人もいます。要は補足給付を受けるには、収入だけでなく預貯金も勘案して「低所得」であることが求められるようになりました。年間所得額によって第一段階、第二段階、第三段階の①、第三段階の②、第四段階に分類され、それぞれに預貯金額が設定されています。
一方、民間の有料老人ホームは入居時の条件と必要諸費用が決まっていますが、預貯金などの制限はありませんし、立地条件によって居住費が変わるので、特養より低い金額ということもあるのです。有料老人ホームは介護保険法では在宅扱いになるので、特養など公的介護施設と同列には考えられません。このように介護施設や老人ホームは複雑な仕組みなので、利用する前に地域包括支援センターで相談し助言を受けるのが良いでしょう。
(介護コンサルタント
中村寿美子) |
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