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筋トレをするべきか 千葉県柏市/77歳女性 |
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気候がよく、私が一年で一番好きな季節になり、「旅行にも行きたい」「久しぶりに買い物にも出掛けたい」と思うのですが、最近は歩くのが遅くなったような気がします。情報番組を見ていると筋肉を付けることが重要といわれていますが、スポーツクラブに入って筋トレをするのが本当に良いのか?迷っています。
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中村寿美子 |
高齢者は足から弱るといわれています。また、「元気で100歳」の理想には歩く力が大きく関与しています。早く歩くよりしっかり歩くことに重点を置いてみましょう。歩くときには踵(かかと)から踏み下ろして、足裏の感覚を感じながら背筋を伸ばしてゆっくり進むと、転ぶことも少なくなります。それは外出時だけでなく、自宅でも同じことです。
先日、77歳の女性が洗濯物を持って自宅の階段を降りているときに最後の一段を踏み外してしまい、けがをして病院通いになりました。高齢者の転倒やけがは、実は自宅内で起こることが多いのです。
新しくスポーツを始めるとか、登山に挑戦しようとか、何らかの目的がある場合には筋トレをすることは必要でしょうが、高齢者の日常生活においては、本格的な筋トレより「しっかり歩くこと」を心掛けることが重要だと思います。最近では、器械や器具を使用しない女性専用のスポーツクラブも散見されるようになりました。そういうところで自分の体力に合った運動法を教えてもらうのもいいでしょう。
また、体を動かすだけではなく「休養」も大切です。コロナ禍での長い自粛生活で体力が落ちている人が少なくありません。健康の3要素は「栄養・運動・休養」といわれていますが、高齢期には質の良い十分な睡眠も必要でしょう。高齢者は同じ年齢であっても個人差が大きいですから、自分に見合った健康法を探って毎日を過ごすことが肝心です。
若いときからスポーツクラブに通って水泳やエアロビクスを楽しんでいるような人は、それが日常生活の一場面になっていますから、たとえ80歳を過ぎても続けることが、その人の健康法になっていることでしょう。また、自宅の隅から隅まできれいに掃除したり窓ガラスを拭いたりと、毎日こまめに動いているなら、特に運動の必要も感じられずに健康を保つことができると思います。いつまでも当たり前の日々が続くことのありがたさを、肌で感じながら暮らしたいですね。
(介護コンサルタント
中村寿美子) |
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