|
コロナ禍で気がめいる 横浜市/76歳女性 |
|
|
長引くコロナ禍で満たされない日々が続いています。このままの自粛生活で何もできずにいるうちに介護が必要になってしまうかも…、と少々投げやりな気持ちです。テレビはコロナ関連の報道番組ばかり見ていて、どうしても感染状況が気になって落ち着きません。何とか生活を取り戻したいと思うのですが、気がめいっています。
|
中村寿美子 |
「ウェルビーイング」という言葉があります。それは、身体的にも精神的にも社会的にも満たされて幸福感を感じている状態を表す言葉なのですが、あなたの場合、気持ちが落ち着かないのですね。今の社会状況では、誰もが気持ちの上で不安感や過度な心配をかかえながら暮らしています。それでも、明るく毎日を過ごしたいですね。
たまには、誰か親しい人とたわいもないおしゃべりをしていますか? また、時間がたつのも忘れてしまうような、夢中になれる何かがありますか? それは仰々しいことではなくて、例えば、今までは見出しだけを見ていた新聞を隅から隅まで読んでみるとか、昔好きだった歌手の歌を口ずさんでみるとか、自分がプラス思考につながるような発想を思いつけば、それで一日を過ごす気持ちが変わるかもしれません。ある女性は、「雲の流れを見ているのが好きで、その時間はとても幸せを感じる」と言います。
幸福感は人それぞれですが、76年も生きてきたのですから、幼少期から今日までを振り返って思い出すことを書き出してみると、さまざまな事柄が走馬灯のように駆け巡るひとときになるでしょう。76年の間にはいろいろな出来事があったと思われますが、それを乗り越えてきて今の自分があるのです。急がなくても必ず元の生活に戻る日が来ます。
そして、介護の不安は長生きすれば誰にでも必ず付きまとう感情です。困ったときに連絡できる人を決めておくだけでも安心できると思います。
介護とは、個人差が大きいものです。何かしらの障害が出て、今までできていたことができなくなる人もいれば、ほんの少しの手助けがあれば十分に生活できる人もいます。元気なときから介護の心配をするより、毎日、散歩するなど体を動かして生活を続けることで、何気ない日常になります。慌てず、急がず、ゆっくりと穏やかに暮らしてみませんか。
(介護コンサルタント
中村寿美子) |
| |
|