|
「人生会議」とは何か 足立区/84歳女性 |
|
|
最近テレビで、「人生会議」というミーティングをしている場面を見ました。医師が参加者に説明をしていましたが、内容を把握するには、とても短い放映でした。いずれ自分が死期を迎えるときのことを考えると、もう少し詳しく知りたいと思います。何か手掛かりはありますか?
|
中村寿美子 |
この度テレビでご覧になった「人生会議」とは、政府が打ち出した「アドバンス・ケア・プランニング」(ACP)という取り組みです。人生の最期を迎えるときに、「どういう医療を受けたいかということを、家族を含めて事前に話し合っておきましょう」というものです。
回復の見込みがないと診断されたときに、延命医療を受けるかどうか、どこまでの医療を受けたいのか—などの医療の選択に関して、自分が元気なうちに話し合って意思表示をしておくことは重要です。それが「人生会議」なのです。
延命医療には「胃ろう」「鼻腔(びくう)栄養」「気管切開」「人工呼吸器」「中心静脈での点滴」などがありますが、自分自身はどこまで希望するかを熟慮して決定し、伝えておきます。
医療機関では、延命医療は可能ですが、介護施設では施設によって受け入れが可能なものと、受け入れできないものがあります。
終末期医療に関しては、「公益財団法人 日本尊厳死協会」という団体があり、現在は北海道から九州まで8カ所の支部で、会員制になっています。会員は「リビング・ウイル」という文書を2部作成して、自分と協会で保存し、必要になった時期に医療機関に提出して本人の希望通りの医療を受けることで、安らかな最期を目指しています。
会員は年会費が必要になりますが、必ずしも会員にならなくても「私の希望表明書」を作成して日付と署名をしておけば、本人の意思を医療機関に伝えることも可能です。書き直しもできて、その場合は日付を新しいものにします。現在、老人病院では意識も薄れかけた高齢者が(事前に希望していた)延命医療を受けて長期入院しているケースもあります。
「人生会議」の手掛かりとしては、持病など身体状況が個々に違いますから、まずは主治医にお尋ねになるのが良いでしょう。そして「口から食事が取れなくなったときに、どうしますか?」という問い掛けを自分自身に向けてみることです。
(介護コンサルタント
中村寿美子) |
| |
|