|
サ高住とホームの違い 埼玉県上尾市/80歳女性 |
|
|
近所にサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)ができました。有料老人ホームとの違いを知りたいです。今は健康なので自立型への入居を考えていますが、自立型から介護付有料老人ホームに移住はできますか?将来の入退院、終末期のみとりケアを希望しますが、可能でしょうか?
|
中村寿美子 |
最近はやりの「終活セミナー」で一番難しいのが「老人ホームの説明」といわれています。昭和38年に老人福祉法で定義された有料老人ホーム、平成23年に高齢者居住安定確保法の改正で制度化されたサ高住。どちらも高齢者の住まいですが、大きな違いがあります。
そもそも有料老人ホームは「利用権」という契約で入居し、日々の生活には夜勤の職員がいて看護師などの専門家が生活をサポートする福祉が備わっている施設です。一方、サ高住は賃貸契約で入居する賃貸住宅で、1日1回の安否確認と生活相談(午前9時〜午後5時)が義務付けられた「借家権」で福祉的要素はありません。夜間の安否確認は外部委託になり救急の際の同行はなく、生活は自己責任です。「サービス付き」という名称に何でもやってもらえると思う人が多いですが、そのサービスとは主に安否確認なのです。
次に費用ですが、有料老人ホームは入居金が一時金として必要なケースと毎月の諸費用で入居するケースを選ぶようになっています。その一時金とは家賃の前払いになり、償却後は毎月の費用だけになるので、長生きしたらお得な商品といえます。
サ高住は賃貸住宅ですから、入居時には敷金、家賃、共益費、基礎サービス費が必要で、実際に利用する食堂や介護サービスは別契約で、利用した分が上乗せになります。要介護度が上がり、夜間の訪問介護が必要になると費用が膨らむため、介護費用が一定の介護付有料老人ホームなどに住み替えるのが一般的です。
また、入退院の付き添いは介護付有料老人ホームでは協力病院なら職員が無料で同行しますが、サ高住では自己負担になります。
終末期のみとりケアはサ高住でも特定施設の指定をうけている住宅なら可能でしょう(サ高住は令和3年6月末現在で全国に7920棟26万8656戸があり、その約6%が特定施設の指定を受けています)。
このようにサ高住と有料老人ホームはその背景にある法律も異なり、そもそも同列には論じられないと私は考えています。さらにサ高住、有料老人ホームそれぞれにもさまざまなタイプがあります。大切なことはそれぞれのメリット・デメリットをしっかりと把握した上で、ご自身の生き方に合った住まいを選択することです。
相談者は現在健康で自立型を希望されているとのことですが、そのような場合は、介護付有料老人ホームの自立型があります。入居後に要介護状態になると居室の移動がありますが、最期のみとりまでお世話してもらえます。いずれにせよ、見学だけでなく必ず体験入居をしてご自分の目で確かめましょう。
(介護コンサルタント
中村寿美子) |
| |
|