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隣室から悪臭が… 板橋区/83歳女性 |
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5年前からサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の1室に入居しています。これまではごく普通に暮らしていましたが最近、隣の部屋から悪臭が漂ってきて、とても不快な気分です。フロントの職員には伝えましたが、改善されません。自分では終の棲家(ついのすみか)のつもりで選んだ住まいなので、今さら転居したくありません。どんな解決策がありますか?
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中村寿美子 |
それはお困りでしょうね。共同住宅では騒音のクレームが多いようですが、悪臭に悩まされている毎日では、それ以上に大変な思いをされていると心から同情します。コロナ禍での暮らしでは、高齢者の「コロナフレイル問題」と、「住居に関する問題」が浮上してきています。
入居時の契約では「サ高住は60歳以上の人が利用できる安否確認がついた賃貸住宅です」という説明があったと思います。賃貸住宅ですから自室でのことは全て自己責任になります。どんなサービスであっても、例えば、部屋の掃除をお願いすることなどは、すべて契約ありきで、サービスごとに費用がかかります。
呼び寄せ家族での利用者の場合、以前は子どもたちが週末ごとに部屋の掃除をしてくれていましたが、コロナ禍になってからは、本人以外は部屋の中に入れないので、掃除も片付けもできず、ゴミ捨てもしていないというケースがあると聞きます。その結果、悪臭などゴミ屋敷のような状態になっているのではないでしょうか。
このような住居に関する問題は、賃貸、持ち家にかかわらず、コロナ禍が長引けば長引くほど顕在化してくると思われます。さまざまなサービスが入った特殊な契約の有料老人ホームと異なり、サ高住の場合は賃貸借契約となり、サービス内容などを含めた生活形態はかなり違います。その違いを理解する必要があります。例えば、賃貸住宅には、自己責任というリスクがある一方で、自分らしい自由な生活ができるというメリットもあります。今後の生活を考える場合、さまざまな住居タイプのメリット・デメリットを洗い出し、比較検討してご自身に合った住まい選びをお勧めします。
話を戻しますが今回の相談のケースでは、隣人が終身建物賃貸借契約であればおそらく寿命のある限り住み続けるでしょう。それ故、賃貸住宅において環境を変えたいと思うなら自分が動くしか方法はありません。相談者の解決策としては、同じ建物に空室があれば、その居室に住み替えるしかないでしょう。その場合でも現在の契約を解約して荷物をまとめ、改めて別の居室に契約をし直して引っ越すことになります。
(介護コンサルタント
中村寿美子) |
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