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「フレイル」とは 町田市/44歳女性 |
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最近になって新聞や雑誌で「フレイル」という言葉を目にします。はじめての言葉なので、意味がよく分かりませんが、前後の文章から介護に関する用語らしいと思えます。「フレイル」とは、どういうことなのでしょうか?
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中村寿美子 |
フレイルとは、2014年に日本老年医学会から「筋力の低下により動作の俊敏性が失われて転倒しやすくなる身体的問題や、物忘れやうつなどの精神的・心理的問題、また、一人暮らしや経済的な社会問題を含む概念」と発表され、2月1日が「フレイルの日」と制定されました。
簡単にいうとまだ要介護状態ではないけれど、体重が減少したり、理由もなく疲労感があったり、歩く速度が遅くなったりと、日常生活に影響が出始め、要介護となるリスクが高い状態を表す医学用語です。フレイルを直訳すると「虚弱」になりますが、具体的には、以前は楽にできていたことが今ではおっくうに感じられる、書類が読めなくなる、料理をしなくなる、また横断歩道で青信号を渡りきれないなど、高齢期に現れる心身の衰えの状態でもあります。
日本では昔からお年寄りに対して「耄碌(もうろく)したね」という言い方がありますね。多少ニュアンスは違いますが、イメージとしては想像できると思います。
一方、日本人の平均寿命は男性81.25歳、女性87.32歳(2018年)。そして日常生活を健康上の制限がなく過ごせる「健康寿命」は男性72.14歳、女性74.79歳(前回調査16年)。その差はだいたい男性で9年、女性で12.5年となり、この差を縮めることが求められていますが、その対策は健康寿命を延ばすことに尽きます。健康寿命を延ばすにはフレイル予防が重要で、各自治体では地域ごとに高齢者を対象とした介護予防教室などを開催しています。
人生100年時代に少しでも元気で長生きできるよう、栄養と運動を常に心掛けてフレイルに陥らないようにすることが大切です。
(介護コンサルタント
中村寿美子) |
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