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「看取り」の心配 横浜市/63歳女性 |
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母は現在、老人ホームに入居しています。そのホームを選んだ理由は「看取(みと)り」ができるということだったのですが、その後、ホームの経営母体が代わってしまいました。母の希望通りに「看取り」が行われるのか心配です。
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中村寿美子 |
最近は老人ホーム内で亡くなる高齢者が増えています。公的な特別養護老人ホームでも、民間の介護付有料老人ホームでも、多くの入居者がホーム内で看取られ旅立っています。一方で、「看取り」という言葉だけが独り歩きしている現状もあります。介護保険が始まって20年近くたち、現在は「看取り介護加算」というサービスが制度化されています。
介護保険はサービスを利用する際に契約を結びます。この「看取り」も、本人と家族、主治医をはじめホーム長、ケアマネジャーや介護職員と「同意書」という一種の契約を交わすことで、全員が納得の上「看取り」が開始されます。要は主治医が引き受けてくれなければ、前には進めません。このようにホームでは、同意書という契約ありきの看取りなのです。
そして老衰自然死を望む高齢者も多くなっていますがホームでの看取りは、いわゆる孤独死とも違い、また、俗に言われる「ピンピンコロリ」とも違います。自分では歩くこともできない、座っていることもできない、寝たきりに近い状態が続きますから、常に家族や介護職員がそばにいて見守られる日々が続くことになります。
人生100歳時代になり、老衰で亡くなる高齢者が増えてホーム内での看取りも増加しています。でも、自分の最終章がどんな形で終止符を打つのかは誰にも分かりません。「看取り」を希望していても、実際には別の形になることもあるかもしれません。
ただ、ホームの経営母体が代わったから「看取り」が行われないということはありません。どうしても心配ならケアマネジャーとの面接時に、再度、確認しておけば安心できると思います。
(介護コンサルタント
中村寿美子) |
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