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ホーム入居への迷い 町田市/79歳女性 |
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夫が亡くなり5年が過ぎました。病気の看病から介護と3年間の大変だった日々を思うと、同じことを子どもたちには期待できません。80歳を目前にして早めに有料老人ホームに入るべきか迷っています。今は一人暮らしを謳歌(おうか)していますが、その暮らしを中断するのも惜しく、かといって物騒な時代にずっと独りきりの生活というのも自信がありません。
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中村寿美子 |
同じような思いを抱えて暮らしている人が大勢いると思われます。何年も住み慣れた生活環境を一変するということは、相当な勇気を必要とします。老いの自覚を持って、その決断ができる人だけが快適で安心な老後の生活を手に入れることができるのです。そして「子どもたちには期待できません」と言いながらも、結局は子どもたちの世話になるのでしょう。心の奥底では「いざとなったら、子どもたちが何とかしてくれる」と勝手な期待をするものです。
あなたに必要なのは、現在の暮らしを継続できる範囲での早めの切り替えだと考えます。まだ体力があるうちに環境を変えるのであれば、毎日の外出はむしろ楽しい時間になるでしょう。
一方で、自宅を整理して売却するにも、かなりの体力を要します。何もかも自分一人でこなすことは不可能かと思われますが、今は、自宅の整理や不用品の買い取りなど、新しいサービス業が生まれています。サービスを利用する際に重要なことは、足元を見られないようにすることです。それには、契約など肝心なときには、息子さんや身内の若い男性に隣に座ってもらいましょう。高齢の女性一人が相手となると、いい加減な対応にならないとも限りません。
何もかも自分一人で行い、ホームに入居したとたんに疲れが出て入院したというケースもあります。自分の今の体力・知力でどこまでが可能なのか? 80歳を超すと、昨日までできていたことができなくなるという、自覚症状がないままに老化現象が進みます。
人生100歳時代とはいえ、体は日々老いていきます。自分が高齢者だという自覚を持つことこそが、悔いのない老後を過ごす秘訣(ひけつ)だと確信しています。
(介護コンサルタント
中村寿美子) |
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