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自宅で世話してほしい 世田谷区/79歳女性 |
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80歳に手が届く年齢になり、友人の中には介護施設に入る人も出てきました。友人が入居する老人ホームに行くと、部屋の広さは8畳くらいの一間でお風呂も台所もありません。私は何とか一人で暮らせますが、今後、誰かの手を借りないと暮らせなくなったときには、自宅に来てもらって世話をしてほしいです。どんな準備をすればいいでしょうか?
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中村寿美子 |
同じような質問をたびたび受けます。多くの人が自宅に住み続けたいと願う気持ちはよく分かります。しかし、そのときの体の状態によって、それがかなわないケースもあります。一番多いのは医療ケアが常時必要になった場合です。その場合でも看護師を住み込みで雇用するという方法もないわけではありませんが、有名人でもない限り、住み込みという条件で来てくれる看護師はいないと思ってください。人材派遣会社に依頼が可能なこともありますが、その場合でも、数人の看護師が入れ代わり立ち代わりに、出入りすることになります。
医療ケアだけでなく、介護でも同じことがいえます。昭和の時代のように、長年にわたり住み込んでくれる家政婦を頼むことはできないと思ったほうがいいでしょう。1日3交代のヘルパーさんを依頼することになりますが、そのヘルパーさんはいつも同じ人というわけではありません。その都度、いろいろ説明をする必要も出てくるので、気苦労が絶えません。
厚生労働省は最期まで自宅で住み続けられるように「地域包括ケアシステム」を進める方向ですが、これも地域格差が大きくて、どの地域でも大丈夫というわけにはいきません。うまくいっている地域でも、ケアマネジャー、医師、看護師、介護職員、薬剤師などの専門家が日に何度も出たり入ったりします。そして、そのコーディネートを担当する身内、もしくは後見人が必要になります。
言葉で言うことは簡単ですが、実際に寝たきりになって記憶も定かでなくなると、思わぬ事態が起きてきます。そのときでも十分に対応できるようにするには、自分のための“助っ人”が必要になります。助けを求めれば駆けつけてくれる“助っ人”をたくさん作れるかどうかが、今後の生活を支える鍵となるでしょう。
(介護コンサルタント
中村寿美子) |
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