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夜中に目が覚める 江戸川区/67歳男性 |
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毎日、寝る前にお酒を飲みます。少しでも飲まないとどうにも眠くならないのです。飲めば眠れるので気楽に考えていましたが、最近中途半端な時間に目が覚めるようになってきました。そうなると、もう眠れません。こういう状態は何か治療で解消できるのでしょうか? それとも、年のせいということで諦めるしかないのでしょうか?
確かに「年のせい」、これは大いに影響があります。高齢になるにつれ、必要な睡眠時間は短くなっていきますので、若いころは7〜8時間、平気で寝られたような人でも、60歳を過ぎると、ぐっすり寝られるのは5〜6時間ほどとなっていきます。加齢による変化は睡眠時間の長さだけでなく、睡眠の質にも影響を及ぼしますので、若いころと比べて睡眠が浅くなった、夜中に目が覚めることが多くなった、といった現象もよくあることです。
特に生活習慣の面からみて定年退職して日が浅い人は睡眠が乱れる傾向にあります。バリバリ働いていたころは、遅い帰宅と朝早い出勤で慢性的な睡眠不足だったのが、定年退職した途端にガラッと睡眠環境が変わるわけです。急に長い時間眠れるようにはなりません。お酒の力を借りて寝付いたとしても、正常な睡眠パターンではなく、逆に夜中に目が覚めやすくなります。
以上からアドバイスとしていえることは、寝床にいる時間を必要以上に長くしないこと。6時間程度を目安にしましょう。特に高齢者は、どうしても夜間は手持ち無沙汰になってしまって、早い時間に寝床に行きたくなると思います。でも我慢しましょう。なるべく午後10時〜11時ごろまで起きて、読書や音楽鑑賞などでリラックスして過ごし、必要以上に長く布団に横にならないようにしましょう。
それともうひとつ。お酒は睡眠には良くありません。確かに寝酒をすると、寝つきが良くなるように感じられますが、実のところ、お酒が抜けていくころに深い睡眠が減り、夢を見るREM睡眠が増える傾向にあります。途中で起きたり、朝方に目が覚めてしまったりする原因となってしまうのです。お酒は睡眠にとって百害あって一利なしです。
現在の不眠治療は睡眠薬を用いた薬物療法が中心となっています。かつての睡眠薬は効果が強力な半面、副作用も強く安全性の問題がありましたが、現在広く使われている睡眠薬は不安や緊張・興奮を和らげて眠りに導くものであり、副作用も少なく、比較的安心して使えるものです。
長期にわたり漫然と睡眠薬を使い続けるのは問題ですので、医師の指導の下、適切に使用することが大切です。なかなか自力で睡眠の問題が解決できない場合は、一度お近くの専門機関に相談することをお勧めいたします。
睡眠総合ケアクリニック代々木 松井健太郎 |
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