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たまに歯茎が腫れる 板橋区/48歳女性 |
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普段は大丈夫なのですが、1年に何度か奥歯周辺の歯茎が腫れて痛みが出ることがあります。忙しい時や疲れている時になることが多い気がします。これは歯周病なのでしょうか。少しほっておくと、いつも治ってしまうので歯科には行っていません。今度歯茎が腫れた時は歯医者さんに診てもらおうと思っていますが、普段の生活ではどんなことに気を付ければいいのでしょうか。歯磨きは朝晩きちんとしているつもりです。
奥歯の歯肉(歯茎)が腫れる原因としては、主に歯肉の炎症(歯肉炎)、歯肉に加えて歯槽骨(歯が植わっている骨)や歯根膜(歯と骨の間にある薄い膜で歯のクッションの役割をする)が破壊され炎症を生じたもの(歯周炎)、さらに歯の神経が壊死(えし)して、歯槽骨で歯の根の先に相当する部分や歯根膜が破壊され炎症を生じたもの(根尖性歯根膜炎)などが考えられます。
また、智歯(親知らず歯)が、一部歯肉に顔を出して、炎症を起こしていること(智歯周囲炎)も少なくありません。これらは、具体的な症状が現れない慢性期と、疲れ、寝不足や風邪に罹患するなど、免疫力が低下したときに、腫れや症状が強くなる急性期の症状を繰り返し、病巣が広がり進行していくことが特徴です。いずれも、う触(むし歯)や歯周炎(歯周病・歯槽のうろう)の原因となる歯垢(プラーク)や歯石に潜む細菌が原因で発症します。
相談者さんの症状も、1年に数回、疲れたときなどに出るようですので、これらの歯肉の病気が進行している可能性があります。炎症が歯肉に限られている歯肉炎の状態であれば、丁寧に歯磨き(ブラッシング)を行うことにより、症状は改善します。歯周炎の状態になると、歯と歯肉の間の溝(歯周ポケット)が深くなり、歯石が沈着しているため、歯科医院で特別な器材を用いた歯石取り(スケーリング)が必要となります。歯根膜炎や智歯が原因の場合は、根の治療や抜歯が行われます。
歯肉に炎症がある場合の歯の磨き方は、柔らかめで細かい毛先の歯ブラシを用いて磨きますが、場合によっては歯間ブラシやデンタルフロス(糸ようじ)の併用が必要なこともあります。1日に最低1回は時間をかけて、念入りにブラッシングすることが大切です。
知らないうちに炎症が拡大し、病気が進行していることがありますので、早めに歯科医院を受診し、検査を受けることをお勧めします。その際には、ご自身の状態に合った歯磨き指導も受けましょう。
日本歯科大学新潟生命歯学部 口腔外科学講座教授 田中 彰 |
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