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口臭が気になる 国立市/66歳女性 |
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娘から「口が臭い」と言われました。口の中が渇くことはよくありますが、今まで自分の口臭がきついとは考えたこともありませんでした。歯周病なのでしょうか? 考えられる原因が知りたいです。
口臭は大きく分けると、(1)歯周病や舌の表面に付着した舌苔(ぜったい)などから発生する硫化水素やメチルメルカプタンなど揮発性硫黄化合物の生体ガスが原因のケース(2)糖尿病や腎不全による尿毒症、肝硬変、蓄膿症(副鼻腔炎)などの口以外の病気が原因のケースがあるといわれています。
ご相談者のように、よく口が渇く場合には、唾液の量が恒常的に減少している可能性があります。唾液は、唾液腺で1日約1.5リットル作られ、口の中を潤しています。そして、その流れにより口の中の汚れを自動的に洗い流します(自浄作用)。唾液自身が抗菌物質を含んでいるため、過度の唾液量の減少は、舌苔や歯周病の増悪因子となることが分かっています。
病的な口臭の約9割が、歯周病や舌苔などから発生するといわれていますので、ご相談者の場合も、口の中に何らかの原因があるのかもしれません。病的に口臭の強い場合でも、自覚している人は少なく、周囲の人から初めて指摘されることも少なくありません。
しかし、揮発性硫黄化合物などの生体ガスは、すべてが病的なものではありません。夜間就寝時や過度に緊張した際などに、唾液の分泌量や自浄作用が減少することによって、口の中の細菌が増加して、生体ガスが発生します。これを生理的口臭といいます。誰もが起床時などには、口の中がネバネバし、臭いを感じることがあるかと思います。これらは歯磨きやうがい、食事、飲水などで改善しますので、第三者が不快と感じないレベルでは、過度の心配はいりません。
ご相談者の場合は、まず歯科医院で、歯周病の診査や舌苔の口腔(こうくう)ケア、セルフケアの指導を受けられることをおすすめします。揮発性硫黄化合物は、口臭外来を掲げる医療施設などで、口臭測定機器を使い簡単に測定可能です。また、糖尿病や腎不全では、口の渇きを訴える患者さんが多いので、疲れやすい、だるい、頻尿などの全身的な症状に心当たりがあるようでしたら、念のために内科受診が必要と考えます。
日本歯科大学新潟生命歯学部 口腔外科学講座教授 田中彰 |
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