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中性脂肪値が高い 江東区/45歳男性 |
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会社の健康診断で「中性脂肪の数値が高い」と指摘されました。今までは大丈夫だったのですが、何が原因なのでしょうか。やはり不規則な(あるいは偏った)食生活がたたっているのでしょうか。中性脂肪が原因でどんな病気になりやすいのか、また中性脂肪を下げるための対策が知りたいです。
中性脂肪はコレステロールとともに血液中の脂質成分(血清脂質)であり、主に体のエネルギー源として使われます。
食事中の中性脂肪は小腸から吸収され、肝臓で作られた中性脂肪とともに血液中を循環し、リポ蛋白(たんぱく)リパーゼという酵素により脂肪酸とグリセロールに分解されエネルギーとして各臓器に供給されます。しかし中性脂肪が過剰になると体内や肝臓に脂肪として蓄えられ、動脈硬化症や脂肪肝、糖尿病、肥満の引き金になります。
血液中の中性脂肪が増加する原因は、(1)食事中の中性脂肪の量が多い(脂肪の過剰摂取)(2)肝臓での中性脂肪の合成が高進している(アルコール多飲、高血糖、糖尿病など)(3)体内での中性脂肪代謝障害、すなわち中性脂肪を分解する酵素であるリポ蛋白リパーゼの働きが悪い(体質や糖尿病など)…が考えられます。
したがって高中性脂肪血症を改善するためには、脂肪(とくに動物性脂肪)や糖質・炭水化物のとり過ぎを避けること、アルコールの過剰摂取も控えることが大切です。また、EPAやDHAなど多価不飽和脂肪酸(オメガ3脂肪酸)を多く含むイワシやサバなどの青魚を多めにとることも効果的です。
また一方では、運動などによりエネルギーを効率よく利用することで中性脂肪値は低下しますので、適度な運動を心掛けると良いでしょう。
しかし、食事療法や運動療法などで適切な体重コントロールを行っているにもかかわらず、中性脂肪値が低下しない場合は、体質の問題や糖尿病などの併存症のコントロールが不十分である可能性も考えなければなりません。
この場合は飲み薬を用いた薬物療法や糖尿病の血糖コントロールなど併存症の治療も必要になります。
東京慈恵会医科大学糖尿病代謝内分泌内科、蔵田医院 蔵田英明 |
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