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飲み過ぎる夫が心配 世田谷区/62歳女性 |
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夫(60代後半)はいい人なのですが、飲み過ぎるのが「玉にきず」です。家で飲んでいる時はまだいいのですが、外で深酒した時などは暴言を吐いたり、翌日記憶がないこともけっこうあります。それなりに反省はしているようですが、お酒をやめる気はないようです。夫はアルコール依存症なのでしょうか?
飲み過ぎて、自分がした行動の記憶をなくすことを「black out(ブラックアウト)」といいます。血中アルコール濃度との関係が示唆されており、ご相談のケースについても加齢に伴う体内の水分量の減少によって血中アルコール濃度が高くなってしまうことが影響している可能性があります。
また、お酒を飲まないときは人格的に問題ない人が、酔っぱらうと暴言を吐くなど粗野な振る舞いになることを「複雑酩酊(めいてい)」といい、悪酔いとほぼ同じ意味合いで使われます。いずれもアルコール依存症によく見られる症状ですが通常の飲酒者にも見られ、ブラックアウトや複雑酩酊があるからといってすぐにアルコール依存症とは断定できません。
しかし、このような問題を繰り返しているケースでは、飲酒コントロールが障害されていることが多いようです。その結果、飲酒量を減らすよう試みても、時間の経過とともに結局、ブラックアウトや複雑酩酊を起こすような飲酒に戻ってしまいます。診断とは別に、完全にお酒をやめることを検討すべきだと思います。
本人にその気がない場合、まずは、酩酊時の言動について記録し、酔いがさめて冷静な話し合いができるときに、本人に伝えることで、問題意識を高めてみましょう。その際には、本人を刺激しないように、感情的にならず事実だけを伝えることを心掛けましょう。
国立病院機構 久里浜医療センター 真栄里仁 |
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