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  医療 平成25年9月号  
パーキンソン病とは  練馬区/58歳女性

 数カ月前から、じっとしていると手足が震えるようになりました。「パーキンソン病」と診断され不安です。進行性の病気と聞いていますが、どのくらいの速さで進むのですか。旅行や趣味の活動は続けられますか?


 パーキンソン病は、脳内の神経伝達物質であるドパミンが減少する病気です。脳による運動の指令が伝達できなくなることで、症状が現れます。日本での患者数は約14万人、発症のピークは50代後半〜60代で、長寿高齢化を背景に患者数は増加傾向にあります。病状の進行はゆっくりで、一部の症状は老化によるものと区別することが難しいこともあります。

 パーキンソン病は早期の正確な診断と適切な早期治療で症状を元の状態に戻していくこと、また、進行した場合にも適切な治療によりコントロールしていくことが可能となっています。手足の震え、筋肉のこわばり、動作緩慢、体のバランスを崩しやすくなることが4大症状ですが、そのほかにも便秘や嗅覚低下などのさまざまな非運動症状があり、患者さんによって症状の組み合わせはさまざまです。

 パーキンソン病の初めは、体の片側に震えなどの症状が現れることが多いですが、症状は徐々に反対側にも出てきます。患者さんによっては、すくみ足になったり、体のバランスを崩しやすくなったりもします。五十肩だと思っていたらパーキンソン病だったということもありますので、神経内科による診断、治療が大切です。

 治療は薬物治療が中心で、不足したドパミンの働きを補います。軽度から中度の場合には、薬物治療と適度なリハビリにより、日常生活を維持することができます。最近では1日1回服用タイプの錠剤や貼り薬も登場し、1日を通して安定した効果が期待されています。閉じこもりがちになってしまうと、運動不足に陥り、筋力も落ちてしまいます。スポーツや趣味、旅行などの習慣は、主治医に相談の上、無理のない範囲で続けることをお勧めします。前向きな気持ちで治療を続けることが、何より肝心です。


国立病院機構 相模原病院 神経内科医長 長谷川一子

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