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禁煙を続けたいが… 墨田区/53歳男性 |
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家族に懇願されて3年前にタバコをやめました。かれこれ喫煙歴は30年。タバコをやめると「食べ物がおいしくなった」「息切れしなくなり、体が軽くなった」などと良いことばかり聞きます。しかし、私の場合は禁煙していても、味覚に変化が出てきたり、健康になったり…という実感が全くありません。それどころか、禁煙してしばらくたつ今でも喫煙する夢を見てしまったり…と、喫煙願望が消えません。禁煙による体調の変化を実感するにはどのくらいの年月が必要なのでしょうか。このままではまた吸ってしまいそうで怖いです。
30年間吸っていたタバコをおやめになったことは素晴らしいことです。ご存じのとおり、長期にわたって喫煙をしていると、体の各種臓器に障害を起こして、いろいろな疾患が生じます。特にがん、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、慢性閉塞性肺疾患(肺気腫、慢性気管支炎)は喫煙による影響が大きく、喫煙関連三大疾患と呼ばれています。
しかし、このようにタバコに害があることは分かってはいるもののなかなか禁煙できない人が多いのも事実です。ニコチンは肺から吸収され脳に到達し、本来の脳内で働く神経伝達物質の代わりに刺激をし、快感や安心感、幸福感をもたらします。喫煙を長期間繰り返すうちに、ニコチンがないとイライラするなどのニコチン依存の状態に陥り、これが禁煙を難しくしています。
ニコチン依存には身体的依存と精神的依存がありますが、タバコをやめるとニコチンが消失し、ニコチン離脱症状(イライラ、不安、集中力の低下、欲求不満など)が出現します。症状や程度は喫煙期間などによりさまざまですが、だいたい数日から2週間程度続きます。これに耐えられず再び喫煙してしまうことが多いため、離脱症状がひどい場合には喫煙以外の方法でニコチンを補い、離脱症状を緩和しながら最終的には禁煙を達成させる方法(ニコチン置換療法)などが必要になります。
ご相談の件は、禁煙に伴うニコチン離脱症状と考えられます。このまま禁煙を続けていただくためには、この離脱症状の緩和も必要と思われます。離脱症状が強いようであれば、ニコチン置換療法も手助けになりますので、内科の医師にご相談されるとよいでしょう。また最近は禁煙外来を開設している施設もあります。
東京慈恵会医科大学糖尿病代謝内分泌内科、蔵田医院 蔵田英明 |
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