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骨の太さと強さの関係 足立区/50歳男性 |
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私はよく知人から「お前は骨太だなぁ」と言われます。確かに他人と比べて骨は太いような気がしますが、過去に骨折したことがあります。骨の太さと強さは関係がないのでしょうか。
「骨太」というのは、おそらく骨格や体形のことを指しているのでしょう。骨そのものが太いとは限らず、筋肉や脂肪が多い可能性もあります。もちろん骨が太いと骨折しにくい強い骨といえますが、残念ながら太いだけではだめで骨の密度や骨の質も重要なのです。
骨の強さは、骨密度と骨質で決まります。なかでも骨密度の方がより重視されており、その関与する比率は「骨密度:骨質=7:3」とされています。骨の構造はよく鉄筋コンクリートの建物に例えられます。カルシウムなどのミネラルがコンクリート、コラーゲンが鉄筋にあたるとされます。コンクリート部分にあたるミネラルを測定したものを一般的に骨密度と呼び、これが少ないと骨の中がスカスカになってしまいます。骨粗しょう症の予防として、カルシウムとその吸収を促進するビタミンDの摂取が最も大切だといわれるのはこのためです。
一方、骨質の一つとして、鉄筋部分にあたるコラーゲンの構造があります。コラーゲンは橋の骨組みのように分子同士がつながっています。そのつながり方がしっかりしていると、骨はしなやかで粘り強く折れにくい、ということになります。最近、糖尿病などの生活習慣病の人はコラーゲン同士のつながりが悪く、骨質が低下して“質の悪い橋”となり、骨密度が低くないにもかかわらず骨折してしまう人がいると報告されています。
まずはこういった自分の骨の状態を知ることも、骨粗しょう症予防の第一歩です。骨密度を測る方法としては、手首やかかとに超音波を当てる簡易的なものや、X線を使用して体のさまざまな部位の骨密度を測定するものがあります。地域の自治体や、整形外科などの病院・診療所に問い合わせてみてください。
骨質はまだ一般的には測定できませんが、近い将来に期待したいところです。
JR東京総合病院リハビリテーション科 部長 田中清和 |
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