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骨粗しょう症とは? 多摩区/63歳女性 |
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最近、テレビなどで「骨粗しょう症」という言葉をよく目にします。骨粗しょう症とはどういうものなのか教えてください。また、骨を強くする方法があればそれも知りたいです。
骨粗しょう症とは、骨密度が低下して骨がスカスカになり骨折しやすくなる病気です。骨密度の低下そのものには自覚症状はないのですが、日常のちょっとした動作で骨折を引き起こしてしまい痛みを生じます。重い物を持ち上げた際や転んだ拍子に背骨や足の付け根、手首を骨折することが多いようです。そうなると介護が必要になったり、骨折を繰り返すと寝たきりになることも珍しくありません。
骨は加齢とともにもろくなりますが、特に女性は女性ホルモンの減少により、骨密度が更年期から急激に低下します。つまり、女性にとって更年期は「骨の曲がり角」だといえます。実際に、女性の骨粗しょう症有病率は男性の約3倍で、50代以降は急激にその割合が増加し、60歳になると女性の2人に1人が骨量減少もしくは骨粗しょう症だと考えられています。ですから、骨もエージングケアが必要なのです。
次に骨を強くする方法です。私がメンバーとして骨の健康の啓発活動を行っている「骨の曲がり角研究会」では、(1)カルシウムの摂取(2)ビタミンDの摂取(3)適度な運動—を推奨しています。
まず、カルシウムは骨の主成分です。実際にカルシウム摂取量が少ない人ほど骨折の発生リスクが高くなるという報告もあります。カルシウムを多く含む食品は、牛乳やヨーグルトなどの乳製品、豆腐や納豆などの大豆製品、イワシやサクラエビなどの小魚類、青菜類では小松菜などです。
カルシウムの吸収を助ける働きがあるビタミンDも、併せて摂取することが大切です。ビタミンDは日光中の紫外線の照射を受けて皮膚でも生成されますが、女性の皆さんは日焼けを防ぐために紫外線対策を行っている人も多いと思います。食品からきちんとビタミンDをとるように心掛けましょう。ビタミンDは、サケやサンマ、ウナギなどの魚のほか、天日干しのシイタケやキクラゲにも豊富に含まれています。
最後に、健康な骨を保つためには、運動によって負荷を与え、骨を強くすることも重要です。特にウオーキングや、下半身と背中の筋力トレーニングなどはお勧めです。ご自身が楽しんで長く続けられる運動を見つけましょう。運動によって筋力がつくとバランス感覚もよくなり、転びにくくなるという効果もあります。
骨粗しょう症と診断され、前述の(1)〜(3)を行っても効果がない場合は薬物療法をお勧めします。かかりつけの医師や骨粗しょう症外来を受診して相談してください。
JR東京総合病院リハビリテーション科 部長 田中清和 |
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