|
ストレスと胃潰瘍 台東区/66歳女性 |
|
|
わたしは日常のちょっとしたことにでもすぐにストレスを感じてしまいます。友人からは「ストレスをためていると胃潰瘍(かいよう)になるよ」と言われます。本当でしょうか。ストレスと胃潰瘍の関係を教えてください。
ストレスは胃潰瘍の原因になります。実際に、胃潰瘍の病態や治療法を解明するための小動物を用いた実験では、小動物を水で満たした容器に入れ、ストレスを与えて人工的に胃潰瘍を作成しました。残酷に聞こえますが、このような実験を介して現在の治療法が確立したといっても過言ではありません。
では、なぜストレスで胃潰瘍ができるのでしょうか。人間は極度のストレスを感じると自律神経が活発になります。すると胃酸の分泌が過剰になって胃潰瘍が発生すると考えられています。
原因には、ストレスのほかにピロリ菌が挙げられます。現在では、このピロリ菌が胃潰瘍発生の最重要因子と考えられています。ピロリ菌は、1983年にオーストラリア人のロビン・ウォレンらによって発見されました。それまでは胃の中は胃液に含まれる塩酸によって強酸性の環境であるため、細菌が生息することは不可能と考えられていました。しかしピロリ菌は、胃酸を中和することができる酵素を自ら生産して胃の中に生息しているのです。今では、ピロリ菌は胃がんの発生にも関与していることが知られています。
ピロリ菌の感染率は、日本では高齢者に高い傾向があります。心配な人は専門医にご相談ください。息の採取や採血、組織検査によってピロリ菌感染の有無が分かります。感染が証明された場合、薬を1週間服用して除菌することができます。除菌には抗生物質を使用するため、治療効果には個人差があります。また、除菌が保険適応とならない場合もありますので、専門医にご確認ください。
東京慈恵会医科大学第三病院 外科 矢野文章 |
|
|
|