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メタボと飲酒の関係 北区/52歳男性 |
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メタボリックシンドロームが話題になっていますが、これは具体的にどんな症状なのでしょうか。また、わたしはよくお酒を飲むので、アルコールとの関係についても教えてください。
メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪の蓄積によってさまざまな病気が引き起こされやすくなった状態を示します。具体的には内臓脂肪の蓄積が、「肥満症」「高血圧」「糖尿病」「高脂血症」といった生活習慣病を引き起こすと考えられています。現在、健康の指標として注目されていますが、それだけでは自覚的な症状は全くありません。
メタボリックシンドロームの基準値は、まずウエストの周囲(へその高さ)を立位で、軽く息を吐いた状態で測定します。男性なら85センチ以上、女性なら90センチ以上あれば、内臓脂肪が蓄積された危険な状態と判断されます。その上で(1)中性脂肪が150mg/dl以上、またはHDLコレステロールが40mg/dl未満(2)血圧が130/85mmHg以上(3)空腹時血糖値が110mg/dl以上と、(1)〜(3)のうち2つ以上の異常がみられた場合、メタボリックシンドロームであると診断されます。ウエスト周囲径は家庭でも手軽に計測できますので、その結果と健康診断などで計測される血糖値などを参考にすればいいと思います。
次にメタボリックシンドロームとアルコールの関係についてです。アルコールは1グラム当たり7.1キロカロリーであり、その代謝過程でほかの栄養素を産生することはなく、同カロリーの糖、脂質と比較して体重増加作用はありません。しかし、アルコールはそれ単体で摂取することはまれで、高カロリーのつまみや飲酒後の食事から、カロリーの過剰摂取や栄養の偏りが生じやすい傾向にあります。また、アルコールの過剰摂取(純アルコールで1日60グラム以上)は中性脂肪の上昇、高血圧などメタボリックシンドロームの要因となります。
しかし、適度な飲酒(純アルコールで1日約20〜40グラム、日本酒で1〜2合、ビールで中瓶1本)程度であるならば問題はないとされています。ただし、それは「メタボリックシンドロームではない」という条件の下ですので、まずは自身の現在の状態を把握されることをお勧めします。
東京慈恵会医科大学付属第三病院 糖尿病・代謝・内分泌内科 診療副部長 森豊 |
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