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認知症とは? 江戸川区/39歳男性 |
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母は近所の心療内科で統合失調症と診断。昨年の6月ごろから物忘れがだんだんひどくなってきました。また時々、誰もいない部屋に「子どもがいる」などと言い、実際にお菓子をあげようとしたり、話しかけたりします。本人には、「誰もいない」と教えてあげても聞く耳を持ちません。母は認知症ではないかと思います。この病気について教えてください。
「物忘れ」はいろいろな疾患で認められますが、認知症もそのひとつです。認知症は、一度獲得された知的機能が何らかの原因によって低下する症状です。そのため、社会生活や家庭生活に支障をきたすことになります。
認知症には、幾つかのタイプがあります。最も多いタイプは、アルツハイマー型認知症です。そのほか脳血管性認知症、レビー小体病、前頭側頭型認知症などがあります。CTやMRI、SPECTなどの検査を行い、どのようなタイプなのか判断していきます。
認知症の症状は、中核症状と周辺症状に分けることができます。中核症状は「物忘れ」「時間や場所が分からなくなる」「思考力や理解力、計算力が低下する」などです。周辺症状には「気分の落ち込みや不眠」「夜間の興奮やおかしな言動、幻覚(幻聴、幻視など)」「物を盗まれたなどの妄想」「怒りっぽくなる」「徘徊(はいかい)」などがあります。
中核症状の治療は困難で、進行していきます。ただし、アルツハイマー型の場合は、状態の進行を抑制する目的で、塩酸ドネペジルという薬が使われることがあります。周辺症状に対しても、症状に合わせた薬で改善することがあります。例えば、妄想に対して抗精神薬を使ったり、また夜間の興奮なども薬物治療により改善することが多いです。
薬以外でも、介護の仕方を工夫することなどで、症状が改善する場合があります。例えば、「物が盗まれた」と騒いでも、すぐに否定せず、一緒に探すようにして見つけてあげると、本人は安心します。
認知症は進行性ですので、医療だけではなく、介護、社会資源の活用、経済的サポートなど、多面的にかかわっていくことが大切になります。
成仁病院 副院長 木内健二郎 |
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