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有効な遺言とは 港区/75歳男性 |
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遺言書を書こうと思っていますが、遺言書に書いても効力が生じない事項はあるのでしょうか。
例えば、自分の葬式の方式などについての遺言は有効でしょうか。遺言で有効となるのはどんな事項に限られますか。
遺言すれば法律上効力を生ずる事項は、民法その他の法律に定められているものに限られます。したがって、それ以外の事項については、遺言書に書くことは問題ありませんが、法律上の効力は生じません。お尋ねのあった葬式の方式についても遺言したとしても、法的な効力は生じないことになります。
それでは、どのような事項が民法、その他の法律で定められているかを挙げてみます。
《相続に関する事項》①相続人の廃除およびその取り消し ②相続分の指定および第三者への指定の委託 ③特別受益者の持戻しの免除 ④遺産分割の指定および第三者への指定の委託⑤5年以内の遺産分割の禁止 ⑥分割に関連する共同相続人間の担保責任についての指定 ⑦遺留分に基づく減殺方法の指定。
《相続以外の遺産の処分に関する事項》①遺贈 ②財団法人設立のための寄附行為 ③信託の設定。
《身分上の事項》①結婚外の子の認知 ②未成年の子の後見人および後見監督人の指定。
《その他》①遺言執行者の指定および指定の委託 ②祖先の祭祀(さいし)を主宰する者の指定—などです。
このように、法律上は限定されていますが、これ以外にも「兄弟姉妹が仲良くするように」とか「相続人全員が力を合わせて家業を発展させるように」などと、遺言書に書くことは問題ありません。しかし、これは訓示的あるいは道義的な意味しかありません。ただ、遺言者の最後の意思として事実上尊重されることはあるかもしれません。
弁護士 山下英幸
TEL:03-3508-0581 |
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