|
マンション賃料の遺産分割について 渋谷区/35歳男性 |
|
|
今年、父が亡くなりました。相続財産は自宅の土地建物とマンション2室、預貯金くらいで、相続人は母と私を含め子ども3人です。遺産分割について一度話し合ったのですが、意見が対立し、解決には時間がかかりそうです。問題はマンションの賃料です。マンションは2室とも貸しているのですが、その賃料は相続財産として遺産分割の対象となるのでしょうか。
相続の開始から遺産分割の終了までには時間がかかるのが通常です。そこで、その間に相続財産からの収益(法律上は「果実」といいます)が生じることがあります。例えば、銀行預金に対する利息、株式の配当金、それに不動産の賃料などがこれに当たります。
相続開始後に生じた果実は、被相続人が生存中に発生したものではないので、被相続人に帰属するものではなく、相続財産そのものではありません。しかし、相続財産に付属して発生するため、遺産分割の対象となるか否かについては説が分かれています。
果実には、預金の利息や株式の配当のように、何もせずにほっておいても自然に発生するものもありますが、不動産の賃料のように、集金や不動産の管理を必要とするものや、農園のように田畑を耕作することによって生じる果実もあります。
そのため、果実の算定が容易なものと、困難なものとがあって、遺産分割そのものが複雑になったり、長期化したりする恐れも否定できません。
したがって、果実でも自然的に発生するものについては分割の対象とし、賃料など何らかの労力を伴うものについては相続人間で話し合い、合意によって解決しているケースが多いように思います。
果実の分割について合意が得られないときは、相続開始後に生じた果実については、各相続人の相続分に応じた持ち分による共有財産となります。これは相続財産そのものとは別の、相続人間の共有財産として、共有物の分割という方法をとることとなります。
早期に、そして円満に解決するためにも、相続人間でよく話し合って、合意による分割が得策であると考えます。
弁護士 山下英幸
TEL:03-3508-0581 |
| |
|