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家族の事情と遺産分割 江東区/31歳女性 |
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父が亡くなり、相続について話し合いを始めております。相続人は、母と長男と次男、それに長女である私の4人です。長男はマンションを買う時の頭金を父に出してもらい、次男は大学を出してもらっていますが、私は勉強が好きではなかったので、高卒で働いております。このような場合、遺産の分割はどのようになるのでしょうか。また、長男は父の介護をしていたので「その分を考えてほしい」と言っていますが、応じなければならないのでしょうか。
遺産分割の場合、まず相続財産がいくらであるかをはっきりさせる必要があります。これは、相続人の中に相続開始前、つまり父親の生前中に贈与を受けたりした者がいた場合に、この相続人が他の相続人と同じ相続分を受けると不公平となるからです。そこで、民法は、共同相続人間の公平を図るため、特別な受益を相続分の前渡しとみて、計算上贈与分を相続財産に加算して(これを持ち戻しといいます)、相続分を算定することにしています(民法903条)。
あなたの場合、長男がマンションを買う時の頭金として父親から出してもらった金額と、次男だけ大学を出してもらっているならその学費などの金額を父の遺産に特別受益として持ち戻し、そのうえで、法定相続分である母が2分の1、きょうだいが6分の1ずつ取得し、その取得分から長男はマンションの頭金としてもらった金額を、次男は大学を卒業するまでにかかった費用分を差し引いたのが具体的な相続分となります。
次に父親の財産の維持または増加に特別の貢献(寄与)をした者があるときは、相続財産からその者の寄与分を差し引いたものを相続財産とみなして、相続分の計算をすることになっています(民法904条の2)。
問題はどの程度の貢献があれば寄与分と認められるかであります。日常生活の世話をしたくらいでは特別の寄与に当たらないでしょう。しかし、療養看護として第三者に行ってもらう必要があるような程度のときは、第三者に頼んだ場合の日当額×療養看護日数×裁量割合という計算式により、その金額または遺産に対する割合で算出して、寄与分として認めるのが一般的なようです。
弁護士 山下英幸
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