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子の認知と届け出 港区/35歳女性 |
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私たち夫婦は、仕事の都合上別姓としているため、婚姻届を出しておりません。最近妊娠していることが分かったので、子の戸籍や住民票のことが心配になってきました。出産したらどのような届け出をしたらよいのでしょうか。戸籍や住民票の記載はどうなりますか。また、子が胎児である間でも認知することができるのでしょうか。
婚姻届を提出していない男女の間に生まれた子は「嫡出(ちゃくしゅつ)でない子(非嫡出子)」とされます。最近では一般的に「婚外子」という表現が使われています。婚姻届を提出していない理由は関係がなく、夫婦別姓を実践とする場合や、婚姻届を提出できないような場合、例えばどちらか一方または双方が法律上の婚姻をしているような場合でも、その取り扱いは同一です。
婚外子の親子関係は、母子関係については、分娩(ぶんべん)という事実と母子手帳あるいは出産証明書によって確定されますが、父子関係は認知が必要となります。この認知には父親が任意で認めて届け出る任意認知と強制的に裁判に訴えて判決で認める強制認知とがあります。子が成人に達してから認知する場合は子の承諾がないと、認知することができません。胎児も認知することができますが、この場合は母親の承諾が必要です。生まれるまでは父親の戸籍には記載されず、生まれてから認知の日付などが記載されます。
婚外子の戸籍上の記載は出生と同時に母の姓で母の戸籍に入ります。戸籍上の続柄は、以前は嫡出子と非嫡出子の表記方法が異なっていましたが、平成16年11月1日に戸籍施行規則が改正されて、婚外子の場合も嫡出子の場合と同様に「長男」「長女」というように表記されます。子を父親の戸籍に入れたいときは、父親が認知して父子関係を成立させたうえ、家庭裁判所の許可を得て、子の姓を父親の姓に変更してから入籍します。この場合たまたま、父母の姓が同一であっても母の姓と父の姓が法律上は別ですから変更の許可が必要です。
婚外子の住民票の記載も、かつては嫡出子と非嫡出子と表記方法が異なっていましたが、平成7年3月1日以降は単に「子」という記載で統一されています。住民票は選挙人名簿の作成の資料になるほか、住民に関する記録としていろいろな手続きに利用されるので、できる限り統一的に記録されるべきものです。
弁護士 山下英幸
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