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義母の遺産相続 あきる野市/58歳男性 |
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私の父は、母が死亡後に再婚しましたが、再婚後5年で亡くなりました。それから15年後に後妻である義母も亡くなりました。父の遺産は自宅の土地建物くらいで、預貯金関係は不明です。自宅は父の死亡後も義母が居住して使用していました。義母には兄弟姉妹が5人おります。父、義母共に遺言はなく、私は義母との養子縁組をしていません。また、私に兄弟姉妹はいません。自宅は父が先祖から承継したもので、私もここで生まれ育ったので、この土地建物は私が取得して子孫に引き継がせたいと思っていますが、何か良い解決案はないでしょうか。なお、義母の兄弟のうち1人は私に「(義母が)大変世話になったので、自分の相続分はいらない」と言っています。
父親名義の土地建物は、父親が死亡した時点で、妻である義母と子どもであるあなたが相続人となって各2分の1の持ち分を相続しております。そして、義母に配偶者も子どもも両親もいなければ、義母の兄弟姉妹が相続人となります。あなたは義母と養子縁組をしていないので、相続人にはなれません。そのため、義母の持ち分である2分の1の遺産分割に、あなたは相続人でない以上参加することはできません。
そこで考えられるのは、民法第905条1項に規定されている相続分の譲渡という制度です。同条項前段に、「共同相続人の一人が遺産の分割前にその相続分を第三者に譲り渡したときは」と規定されているので、あなたが相続分の譲渡を受ければ、共同相続人として、遺産分割に参加することができます。義母の兄弟のうち1人は、「相続分はいらない」と言っているので、その人に頼んで、その相続分を譲り受けるとよいでしょう。同条項の後段には、「他の共同相続人は、その価額および費用を償還して、その相続分を譲り受けることができる」と規定しています。
そこで、遺産分割の話し合いにするか、あるいは調停の申し立てをします。義母が15年もの間、あなたの持ち分である2分の1を無償で使用していたことを踏まえると、義母の生活維持にあなたが協力していたことは明らかです。
また、義母の入退院の世話や自宅での療養看護をしていたり、さらに死後はあなたが喪主として葬儀を執り行ったりして費用を負担したことはありませんか? そのような場合は、民法第904条の2の寄与分に当たりますので、義母の他の相続人4人に対してその寄与分請求をすることができます。
これだけでは不十分なので、さらに代償金をプラスして、代償分割の方法で、土地建物の他の相続人の持ち分5分の2(義母分2分の1の中の5分の4)を取得します。そうすることで先祖からの土地建物を売却したり、分割したりすることなく維持できるようになると思います。
弁護士 山下英幸
TEL:03-3508-0581 |
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