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借地での住宅建て替え 東村山市/73歳男性 |
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宅地30坪を借りて住んでおりますが、建物も築60年となり、老朽化が進んでいます。この際、4階建ての鉄筋のビルに建て替えて1階を店舗、2階を事務所として貸し、3・4階を住居として使いたいと思っています。
契約書には「借地上の建物は、木造2階建てとし、住居用として使用しなければならない」と書いてありますが、借地人としてどのようにしたらよいでしょうか。
建物所有を目的とする土地賃貸借契約について、借地借家法では建物の種類・構造・規模・用途などを特に規定していないため、当事者間の契約で制限されることが多いです。あなたの場合も借地契約書で「木造2階建てで住居用」と定めて制限しています。
借地借家法17条1項では借地条件の変更および増改築の許可について、次のように規定しています。借地条件と異なる建物の所有を目的とすることが相当であるにもかかわらず、当事者間で借地条件変更の協議が調わない場合、裁判所は当事者の申し立てにより、その借地条件を変更することができるとしています。このことは、借地借家法も契約上の制限特約を想定しているといえるでしょう。
木造建物の所有目的の借地権の場合、建物を鉄筋のビルに建て替える場合は、用法の変更となるので、地主の承諾が必要です。もし、承諾を得ずに建て替えると用法違反となって、信頼関係を破壊しない特段の事情がない限り、借地契約の解除理由となります。
借地条件を変更したいときは、地主の承諾を得るために地主との交渉が必要となり、借地条件変更の承諾料、地代の改定、借地期間の変更などが協議されることになります。
地主が交渉に応じなかったり、協議しても地主の承諾が得られなかったりした場合は、裁判所に「借地条件の変更許可の申し立て」をすることができます。
この申し立てにより、裁判所は付近の建物状況やその他の事情変更などを考慮して、木造2階建ての建物を鉄筋コンクリートの4階建てに変更するのが相当と判断したときは、地主の承諾に代わる決定を出すことになります。もちろん不相当と判断したときは、申し立ては却下となります。
申し立てを認める場合、付随処分として地主への財産上の給付(承諾料)を条件に許可されているようです。地主に支払う承諾料は一般的には借地権価格の10%程度です。
弁護士 山下英幸
TEL:03-3508-0581 |
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