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  法律 平成27年3月号  
マンション管理費を変更できるか?  港区/71歳男性

 私は住んでいるマンションの管理組合理事長をしています。このマンションの管理規約では、事務所としての使用が認められているため、最近区分所有者に会社が増えております。会社が事務所として使用する場合には従業員が何人もいて、人の出入りが多く、エレベーターなど共用部分の使用頻度も高く、出すゴミの量も多いのが現状です。そこで、会社の場合は管理費を個人組合員の倍額にしたらどうかという意見が、理事から出ました。規約をそのように変更しようと考えていますが、法的に問題はないでしょうか。


 管理費の負担割合は原則的には、共用部分の使用頻度に応じて定めているものではありません。ですから、会社である法人組合員と個人組合員の管理費の負担割合が同一であっても、直ちに不合理とはいえないです。

 複合型マンションでは、用途に応じた管理費を実現するため、共用部分を全体共用部分、一部共用部分および店舗共用部分に分類して、それぞれの共用部分に応じた管理費を定めて、差をつけることは可能です。単に法人というのではなく、店舗や事務所に使用しているような場合には、費用項目を検討して、その部分と住戸部分の管理費とを適切に案分し、管理規約で定めることはできるでしょう。

 ところが、店舗共用部分であるか否かではなく、法人組合員であるとの理由だけで、個人組合員の倍額の管理費を負担させることは、平等の原則に反する規約の改正であって、問題となります。

 区分所有法は規約で管理費を専有部分の床面積の割合とは異なる割合で定めることを認めていますが、規約の改正決議は区分所有者および議決権の各4分の3以上の多数決によって総会で決まるので、場合によっては少数組合員に不利になることがあります。

 そのような場合、同法は少数者保護のために規約の改正に制限を設けております。規約の改正が一部の区分所有者の権利に特別な影響を及ぼす場合には、その区分所有者の承諾を必要としています(31条1項)。ご質問の場合も、組合員が法人であることのみの理由で法人組合員の管理費を倍額とすることは、差別が合理的限度を超えると考えられます。したがって、承諾があるなど特段の事情がない限り、規約の改正はできません。

弁護士 山下英幸
TEL:03-3508-0581

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