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離婚後の年金分割 文京区/56歳女性 |
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現在私は専業主婦で、夫は会社員です。私たちが離婚した場合、夫の年金の半分は妻である私がもらえると聞きました。その通りでしょうか。年金制度の内容などを教えてください。
あなたがお聞きになったのは2007(平成19)年度から採用されている制度で、夫婦が離婚した場合に夫の年金が妻に分割されるという内容です。ただ、あなたのように、夫が受け取る年金の半分を妻がもらえると思っている人がいますが、それは正確ではありません。
対象となる年金は、会社員である夫が加入している厚生年金だけで、基礎年金は対象外です。厚生年金や共済年金に加入している人でも同時に国民年金にも二重に加入することになっています。その中で、加入者全員に共通して支給される年金を基礎年金といいます。
さらに厚生年金でも全てが年金分割の対象ではなく、夫婦が婚姻期間中に支払った部分に限られます。もし共働き期間があれば、その部分については夫婦の厚生年金の合計金額を分け合うことになります。
年金の分割の割合は、原則として夫婦の話し合いによって決めることになり、この場合あなたの取得分は最大で半額となります。夫婦間の話し合いで合意できないときは、家庭裁判所に申し立て、調停あるいは審判で決めてもらうこととなります。
具体例で説明します。仮に結婚30年で夫が40年会社に勤め、妻は一度も会社勤めをしたことのない専業主婦というケース。この場合、夫の厚生年金が月12万円と仮定しますと、夫の給料の変動を考慮しなければ、12万円の4分の3(婚姻期間相当分)が分割の対象となり、その金額は9万円となります。したがって、あなたが分割を受けられるのは最大で4万5000円となります。
一般的にみると、分割の割合は2分の1としているケースが多いようです。また、分割された金額としては平均で月額3万4000円くらいです。
年金の受け取りは、あなたの名義で受け取ることができます。離婚後、夫であった人が死亡しても打ち切られることがなく、終身で受け取ることができます。
受給開始時期は、あなたが65歳に達したときからで、夫であった人の支給期間開始時期ではありません。詳細は最寄りの年金事務所にお問い合わせください。
弁護士 山下英幸
TEL:03-3508-0581 |
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