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マンション賃貸業と暴力団排除条例 新宿区/70歳男性 |
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私はマンション30室を賃貸しています。全国で暴力団排除条例が成立し、施行されているとのことですが、暴力団排除条例とはどういうものですか。また、マンション賃貸業の場合、どのようなことが問題となるのでしょうか。
暴力団排除条例は、暴力団だけでなく、一般市民や企業も対象となり、暴力団の資金源を断絶し、暴力団活動の規制を内容とした条例です。その目的は暴力団の影響力を排除し、犯罪の未然防止にあります。
法律は国会(衆参両議院)で制定しますが、条例は地方自治体(都道府県、市町村、特別区など)で制定し、その自治体に属している者に適用されます。暴力団排除条例は、平成22年4月に福岡県で最初に施行され、東京都が平成23年10月に施行することによって、全都道府県で施行となりました。
東京都暴力団排除条例では、都民に対し努力目標を課し、事業者には暴力団員に対する利益供与を禁止しております。さらに、事業者が悪質な行為をした場合には公安委員会から「勧告、公表、命令」などが行われ、これに違反した場合は罰則も規定されています。
都条例によると、都民の責務として(1)都または暴追都民センターに情報の提供をする(2)排除活動に参画または協力する(3)排除活動に自主的に、かつ相互に連携して取り組むことなどに努めるよう規定されています(15条)。
さらに事業者の契約時における措置として以下が挙げられています。(1)相手方が暴力団関係者ではないことの確認(2)契約後相手方が暴力団関係者であることが判明した場合には、無催告解除ができるように定めること(18条)。
また、不動産の貸し付けにおける措置も同様に、相手方に暴力団事務所として使わないことの確認や暴力団事務所に使っていることが判明したときは無催告解除ができるよう努めることなどが定められております(19条)。
事業者の禁止事項としては、規制対象者(暴力団員など)が行う暴力的不法行為などの代償として(規制対象者に)利益を与えてはならないことになっています。これに違反したときは、勧告、公表、命令、罰則(1年以下の懲役または50万円以下の罰金)が適用されます(33条1項2号)。
マンションを賃貸している場合は、事業者として以上の規制を受けることになります。
弁護士 山下英幸
TEL:03-3508-0581 |
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