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貸金が戻らない 世田谷区/61歳男性 |
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私は親しい友人に「すぐ返すから。約束する」と頼まれて、金10万円を利息も定めずに貸しましたが、まだ返金してくれません。いつになったら返済の請求ができるでしょうか。
また、利息の請求はできないでしょうか。もし友人が返してくれない場合、強制的に請求する方法はあるのでしょうか。
友人が借りる時にすぐ返すと言っていた「すぐ」というのを返済期限とみるかどうかが問題です。常識的には1年も2年も先でないことは明らかでしょうが、かといって1週間先か、1カ月先か定かでないので、明確な返済期限とみることは困難でしょう。
そうしますと、期限の定めのない貸借となり、民法によると、期限の定めのない場合に請求するには「相当の期間を定めて返済の催告」をしなければならないとされています。ここでの相当期間とは、返す金額を準備するための客観的にみて必要とされる期間です。
したがって、貸した金額にもよりますが、10万円なら5日から10日間くらいが妥当な猶予期間といえるでしょう。
次に利息ですが、利息については貸すときに約束していないと請求することができません。しかし催告期間経過後の返済期日に返さないときは、遅延損害金として民事の場合は全額を返してくれるまで不払額に対して年5%を請求することができます。
返済期限が過ぎても友人が返してくれない場合、友人に財産があるときは、その財産や収入から強制的に返済させる方法をとらざるを得ません。それには確定判決、和解調書、調停調書、公正証書などが必要となります。このうち判決以外は友人の承諾が要件となります。承諾を得ることなくできる方法として、少額訴訟制度と支払督促があります。
どちらも簡易裁判所の管轄で、簡易・迅速に効果的な解決を図ることができます。少額訴訟は60万円以下の金銭支払請求に限られます。一般の訴訟事件とは異なり、証拠調べも即時に取り調べることができるものに限られ1回の審理で終わるのが原則となっています。
支払督促は、かつては支払命令といわれた制度で、一番の特徴は相手方の言い分を聞かずに申し立て通りの請求が認められることです。相手から異議の申し立てがあると、140万円以下の請求の場合は簡易裁判所、これを超える場合は地方裁判所で通常の訴訟手続きとして進行します。ですから、この手続きは相手が争わない場合に効果があります。
弁護士 山下英幸
TEL:03-3508-0581 |
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