|
転賃借のトラブル 町田市/56歳男性 |
|
|
私は友人が経営していたスナックを家主の承諾を得て転借りしました。ところが、友人は資金繰りに困り、私が払っていた賃料を家主に払わずに使い込んでしまいました。
そこで、家主は私に対し、店舗の明け渡しを求めて裁判を起こしてきました。私は明け渡しに応じなければならないのでしょうか。私は明け渡しを求められたときから友人への支払いは止めております。私としては友人の不払い分も含めて家主への支払い分全額を支払って家主と直接契約をしたいと思っています。この場合、私は友人に対してどのような請求ができるでしょうか。
転借人であるあなたが友人に転借料を払っていても、友人が家主に賃料の支払いを怠っているとき、家主は友人の賃貸借契約を賃料不払いという理由で解除することができます。また、家主があなたへの転貸しを承諾している場合でも、友人と家主との間の賃貸借契約が解除されるとあなたの転借権もその基礎を失うことになります。
その結果、あなたの建物占有権原もなくなり、家主に対抗することはできなくなって、明け渡しに応じなければなりません。なお、家主と友人との契約終了が合意解除のときは、家主は転貸しを認めているので、信義則上あなたに対して賃貸借を終了することができない場合があります。
次にあなたと友人との関係です。家主から建物の明け渡し請求を受けた以後の転借料の支払いを拒絶することができます。また、友人に対して敷金、保証金を入れている場合は、その返還請求もできます。
しかしあなたには家主に対し、友人が支払いを怠っていた賃料または賃料相当額の損害金の支払い義務があります。この場合の賃料あるいは損害金とあなたが友人に払っていた転借料とは同額ではない場合が多く、一般的には賃料より転借料の方が高いでしょう。友人に対して返還請求ができるのは、友人が家主に対して支払いを怠っていた賃料額となります。
あなたの友人に対する転借料の支払い義務がなくなる時期は、家主があなたに建物の明け渡しを請求してきたときとするのが実務の考えです。和解により家主と直接契約したときは、新しい契約となって以後は友人との関係は一切ありません。もちろん、以前の転貸借契約の清算は別の問題です。
弁護士 山下英幸
TEL:03-3508-0581 |
| |
|