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代襲相続とは 練馬区/30歳男性 |
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私の父は商売をしていましたが、経営が苦しくて、祖父から1000万円ほど借金していたそうです。父は5年前に亡くなり、このたび祖父も亡くなったので、その相続について話し合っております。叔父たちは私の相続分から父の借金分を差し引くと言っていますが、法律的にそうなるのでしょうか。
あなたの場合は、父に代わって祖父の財産を相続するのですから、これを代襲相続といいます。そしてあなたを代襲相続人(代襲者)、父を被代襲相続人(被代襲者)、祖父を被相続人、叔父や叔母を相続人と称します。
通常であれば、祖父の財産を父が相続し、そして父の財産をあなたが相続するのが自然の順番です。しかし不幸にも父が祖父より先に亡くなったため、代襲相続となったわけです。
そこで問題となるのが、あなたの代襲相続人としての地位です。被代襲者の地位をそのまま引き継ぐと考えるならば、被代襲者のところで考慮すべき事情はそのまま代襲者のところでも考慮されることになります。そうすると、父の持つ祖父からの借金もあなたの特別受益(生前贈与)として、あなたの相続分から差し引かれることになります。
そうではなく、代襲相続人の地位は、代襲者が固有の利益として原始的に取得されるものだとの考えに立つならば、あなたは父が祖父にした借金は、相続分から差し引かれないことになります。
これら2つの説に対して、次のような折衷的な考えもあります。被代襲者の特別受益を全く考慮しないのは、相続における公平の原則に反するものであるから、被代襲者が被相続人から生前に受けた財産のうち代襲者が現実に利益を受けている場合に限り、その限度で代襲者の特別受益に該当するとの考えです。裁判所の審判ではこの考えによるものが多いと思います。
したがって、父が祖父から土地や建物などをもらって、それをあなたが引き継いだのならその分差し引かれますが、父の借金では現実に利益を受けないので相続分から差し引かれないと考えてよいのではないでしょうか。
弁護士 山下英幸
TEL:03-3508-0581 |
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