|
子どもの親権と監護権 墨田区/40歳女性 |
|
|
8歳の息子が1人おりますが、1年前に協議離婚しました。子どもの親権者は夫と定めましたが、このたび事情があって私が子どもを引き取って面倒を見ることになりました。しかし夫が親権は渡せないというので、私が監護権者になりたいと考えています。親権と監護権を分けることはできますか。
親権には子どもの法律行為を代理する財産管理権と、実際に子どもの面倒を見て育てる身上監護権とが含まれます。
民法上は、親権者のほかに監護者の規定があるので、親権と監護権とを分けることができると考えられています。しかし、一般的には子どもの監護養育に適している方を親権者と定めるので、分けることは極めて例外的な場合のみ認められます。なお、離婚した場合の親権者は父母いずれかの1人とされます。
分けることが認められる基準は、あくまでも子どもの利益となるか否かです。例えば、父母の一方は養育監護には適しているが、財産管理には適任でない場合、あるいは父母双方が親権に固執して譲らないため、分けて解決した方が子どもの精神的安定を図るうえで効果がある場合。また、父母のいずれが親権者になっても子どもの福祉にかなうときに、できるだけ共同親権に近づけられると認められるような場合などです。
親権と監護権を分けた場合のそれぞれの権限は、監護権を有しない親権者は、子どもの財産管理権、財産管理に伴う法律行為、15歳未満の子どもの養子縁組、氏の変更などの身分行為における法定代理権です。一方監護権者は、子どもの身上監護権、教育権、居所指定権、職業許可権、懲戒権などです。
ところが、監護権者が母でも、各種手当ての受給には親権者である父の協力が必要だったり、子どもの氏を母の氏にしたいと思っても、親権者である父の協力がない限り変更できないといった不都合があります。したがって親権と監護権を分けた場合は、父母の間に信頼関係がないときは、子どもに悪影響が及ぶ恐れがあることは否定できません。
弁護士 山下英幸
TEL:03-3508-0581 |
| |
|