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遺言執行者とは? 港区/74歳男性 |
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自筆証書で遺言書を作成しようと思っていますが、知人から「遺言書を作るなら、その中に遺言執行者を指定しておくのがよい」と言われました。その方がいいのでしょうか。また、遺言執行者は誰の代理人となって、どんな権限を持って、何をするのでしょうか。
公正証書による遺言の場合は、公証人が作成するので遺言執行者を指定するかどうか聞かれるでしょうが、自筆証書による場合は、そこまで気が付かなくて遺言執行者を指定しない場合も少なくないと思います。
遺言執行者は、遺言書に従って遺産を相続人に実際に移転する任務を負います。遺言執行者は、必ず指定しなくてはならないというものではありません。しかし、相続開始後に遺言執行者が手続き上必要となったとき、その選任を家庭裁判所に申し立てなければなりません。そのため、適任者がいたら指定しておくのがよいでしょう。
遺言執行者には未成年者、破産者以外なら相続人でもなることができ、その数も一人または数人を指定することができます。また、その指定を第三者に委託することもできます。
遺言執行者は、遺言の内容を実行するために相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有しております。したがって、遺言執行者は実質的には遺言者(被相続人)の代理人とみるのが適当と思われますが、亡くなられた人の代理人というわけにはいかないので、民法上、遺言執行者は相続人の代理人とみなすと規定されています。
遺言書で遺言執行者として指定されていても、遺言者の死亡によって当然に遺言執行者に就職するものではなく、遺言執行者の就職の承諾が必要です。これは遺言者の一方的な指定なので、その就職を断る自由も認められているのです。
就職を承諾したときは、遅滞なく相続財産の目録を作成して、これを相続人に交付しなければなりません。その他善良な管理者としての注意義務、報告義務、受取物の引き渡し義務などが定められています。
反面、権利として、遺言執行のために必要な費用を支出したり、債務を負担した場合には、その償還請求ができるほか、報酬も遺言書に定めていない場合でも請求できます。
弁護士 山下英幸
TEL:03-3508-0581 |
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