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子どもに会いたい 荒川区/35歳男性 |
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妻から夫婦関係の調停申し立てがあり、5回話し合いをした結果、半年ほど前に以下の条件で離婚調停が成立しました。(1)子ども(3歳女児)の親権者は妻(2)慰謝料・財産分与なし(3)子どもの養育費として1カ月5万円を私が支払う(4)子どもとの面接は月1回—という内容。ところが、4カ月は毎月1回子どもと会うことができましたが、私の養育費の支払いが半月ほど遅れたときから会わせてもらえなくなりました。面接を実現させる方法はないでしょうか。
養育費の支払いと、面接交渉とは連動するものではなく、また養育費の支払いを条件に面接交渉を認めるとか、その逆に面接交渉を認めるかわりに養育費を支払えということもできません。養育費の支払いと面接交渉とは別の問題として、切り離して考える必要があります。ですから、養育費の支払いが遅れたことを理由に面接交渉を拒否することはできないのです。
調停で合意した面接交渉が行われない場合は、家庭裁判所に家事審判法15条の5により履行勧告の申し立てをすることができます。また、面接交渉権を有するあなたから調停の申し立てをして、あらためて話し合うこともできます。しかし、これらの方法はいずれも強制力がないため、相手方がそれでも面接交渉に応じない場合には、強制執行という方法を検討しなければなりません。
ところが、その性質上、面接交渉の履行は、その義務者が自ら行わなければならないことから、直接執行や代替執行になじむものではありません。したがって、強制執行といっても、実質上の義務者である母親に対して間接的に強制する方法をとらざるを得ません。間接執行という方法は、不履行に対して金銭的な賠償を科することによって、間接的に強制することです。この方法については、裁判例や学説でも認められています。
そうなると、面接交渉を拒否した場合には、1回についていくらのペナルティーを科するのがよいかということになります。安過ぎると効果がなく、高過ぎると不公平となります。裁判例を見ると、不履行1回につき5万円くらいが相当だとしているケースがあります。
問題は、間接的であっても強制執行ですから、調停調書に要件が備えられていることが必要です。できるだけ再度の調停または審判によって、強制執行に必要な要件が備わった条項を定めることが重要です。
弁護士 山下英幸
TEL:03-3508-0581 |
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