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相続放棄した場合 保険金の扱いは? 町田市/64歳女性 |
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私の家族は夫と独立した子ども2人。夫は不動産関係の会社を経営していましたが、1カ月程前に急死しました。財産を調べたところ、自宅マンションには銀行の担保が付いている上に、会社の債務に個人保証もしておりました。マンションの価値より借入金の方がかなり大きく、相続の放棄をしようと考えております。
ところが夫は生命保険にも加入していて、その契約では保険金の受取人を相続人としています。相続放棄をした場合、保険金は受け取れるでしょうか。受け取れるとしたら、誰がどんな割合で受け取ることができるでしょうか。
相続の放棄は、相続開始後に被相続人が有していた権利義務一切を引き継ぐことを断って、はじめから相続人ではなかったこととする制度です。
そこで問題となるのは、被相続人が契約していた生命保険で受取人として相続人を指定していた場合です。相続人が相続放棄をすると保険金も受け取れないのではないかという疑問が残ります。
保険金受取人が保険契約者と別人である場合、この契約は他人のためにする契約となって、その効果として受取人が保険金請求権を取得します。この請求権は受取人が自己の固有の権利として取得するもので、相続によるものではないとされています。
このことは受取人を相続人と指定されている場合も同じです。したがって被相続人の権利を承継するものではないので、相続財産とは関係がないため、相続を放棄した場合でも保険金請求権を取得することができます。
しかし、保険金の受取人を相続人とする指定方法は、被相続人が死亡するまでに、特定した受取人が先に死亡したような場合に変更手続きをとる必要がないとの利点がある反面、このような氏名を挙げない抽象的な指定方法が果たして有効となるのかという疑問もあります。裁判例によると、保険事故発生時、すなわち被相続人死亡時に受取人を特定し得る以上有効としています。そのためここでいう相続人とは保険契約者である被相続人が死亡した時の同人の法定相続人となります。あなたの場合は、あなたと子ども2人の3人が保険金請求者となります。そしてこの3人の取得割合は、特別の事情、例えば遺言で相続分を指定しているような場合は別として、法定の相続分の割合によるものと解されています。
弁護士 山下英幸
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