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妻子ある男性と30年同居、相続は? 北区/67歳女性 |
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私は妻子のある男性と30年間同居して、約6年間は寝たきりの彼を介護してきましたが、亡くなってしまいました。布団の下から自筆の遺言状が出てきて、私に全財産を贈与すると書いてありました。また、生命保険証書もあって、保険金の受取人を彼の妻から私に変更してありました。財産は銀行預金100万円と、証券で500万円ありました。私は彼の財産と保険金を受け取ることができるでしょうか。
遺言が有効となるためには、民法に定められた方式と要件を満たしていることが前提。自筆遺言は本人が全文、日付、氏名を自書し、これに印が押してあれば有効です。その上で家庭裁判所に検認の申し立てをすることが必要です。
あなたの場合は妻子のある人との同居ですから、重婚的内縁関係といって、民法の重婚禁止や夫婦間の貞操義務に抵触すると考えられます。ですから、遺贈は公序良俗違反となって無効となる恐れがあります。裁判例を見ると、遺贈の目的や妻子の経済状態、あなたの生活状況、それに遺贈の金額や遺贈者の財産状況など具体的内容によって結論が異なっているようです。
仮に有効だとしても、妻子は合計で2分の1の遺留分を有しているので、遺留分減殺請求をされると、相続財産の2分の1は妻子に渡すことになります。遺留分減殺請求は遺留分を侵害していることを知った時から1年以内ならいつでも一方的に行使できます。
次に生命保険金を受け取る権利があるかどうかです。この場合も、遺贈の場合と同様に重婚的内縁関係における保険金受取人の変更が公序良俗に反するか否かの判断によって結論が異なることになります。有効ならばあなたに権利があることになります。
また、保険金は相続財産ではないので、遺留分減殺の問題は生じません。もし変更が無効となると、最初の受取人だった妻が保険金請求権を取得することになります。
弁護士 山下英幸
TEL:03-3508-0581 |
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