|
相続人の1人が行方不明 清瀬市/64歳男性 |
|
|
私の父の妹が亡くなりましたが、この叔母には夫も子どももいません。もちろんその両親(私からみて祖父母)は既に他界し、相続人は兄弟姉妹ということになります。祖父は二度結婚していて子は6人いましたが、全員亡くなっています。そのため、代襲相続となりますが、代襲相続人中の1人が行方不明となっていて、協議がまとまりません。このような場合、誰かを代理人として協議してもよいでしょうか。それともこのまま待つしかないでしょうか。
遺産分割の協議は、相続人全員の合意となるため、1人でも欠けていると分割の協議は無効となります。行方不明者がいる場合も同じです。だからといって、誰かを代理人とすることは、本人である行方不明者の意思によらないので、この合意は無効です。
しかし、これではいつになっても遺産分割の協議ができないことになり、相続財産の帰属が確定されません。権利は取得しても利用できない状態で、いわば絵に描いた餅と同じです。もちろん、相続人が財産管理人を置いているときは、その管理人を加えて協議すれば問題はありません。
共同相続人に行方不明者がいる場合に遺産分割の協議を有効に成立させる方法として次の2つがあります。
その1つは、民法第25条・951条により、行方不明者の利害関係人(共同相続人は含まれる)または検察官が申立人となって家庭裁判所に行方不明者の財産管理人を選任してもらう方法です。財産管理人になる人は、行方不明者と利害関係を有しない人を選任する必要があるので、共同相続人は財産管理人となることはできません。この財産管理人を加えて遺産分割の協議をすれば、その合意は有効となります。
もう1つの方法としては、民法第30条1項により、行方不明者の生死が7年以上不明であるときは、利害関係人(共同相続人は含まれる)の請求によって家庭裁判所が失踪宣告をすることができます。また、同条2項で、行方不明者が地震や火災に遭ったり、沈没した船に乗っていたような場合には、その後1年間生死不明のときも失踪宣告を求めることができます。
失踪宣告がされると、1項の場合は期間満了時に、2項の場合は危難が去った時に死亡したものとみなされます。したがって、行方不明者は代襲相続人とはならないので、その人を除いて協議した合意も有効となります。
弁護士 山下英幸
TEL:03-3508-0581 |
| |
|