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借地での住宅建て替え 調布市/55歳男性 |
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わたしが住んでいる建物は木造で、親が建てたものを相続で取得したのですが、敷地は借地です。最近地震のことが心配になり、簡易耐火構造に建て替えようと思い、地主にそのことを話しました。しかし地主は「土地を返してほしい」と言って、建て替えを認めてくれません。どうしたら建て替えることができるでしょうか。
土地賃貸借契約期間内であっても、借地上の建物増改築を制限する特約がある場合には、地主に無断で建物を建て替えることは契約違反となり、契約を解除される恐れが大です。特にあなたの場合は、木造の建物を簡易耐火構造とするのですから、土地用途の変更、つまり借地条件の変更にも該当します。
したがって、地主の承諾は絶対といってもよいくらい必要です。ところが、地主が土地の返還を理由に承諾してくれないとのことですから、法的手続きによって地主の承諾に代わる裁判所の許可決定を得る申し立てをする必要があります。
この申し立ては、借地の所在地の地方裁判所にします。地主との合意がある場合は、合意管轄として簡易裁判所に申し立てることもできます。裁判所への申し立てですが、いわゆる訴訟事件ではなく、非訟事件となります。
裁判所は借地権の残存期間、土地や周囲の状況、そのほか過去の経緯など一切の事情を考慮し、どのような条件に変更すべきかを判断して結論を出します。そして変更を認める場合には、借地人に対して承諾料として金銭の支払いを命ずることができます。この金額を決めるときは、鑑定委員会(3人)の意見を聞かなければならないことになっています。
あなたの建物の敷地は現行の借地借家法施行前の契約ですが、この法律はさかのぼって適用されます。コンクリートの建物への建て替えでなくても適用が認められますから、地主の承諾が得られない以上、申し立てが必要となります。
弁護士 山下英幸
TEL:03-3508-0581 |
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