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  法律 平成22年5月号  
遺言執行の手続き  江東区/60歳男性

 父が死亡し、四十九日の法要が終わってから手提げ金庫の中を調べてみると、父が書いた遺言書が出てきました。父の遺志を尊重して遺言書通りの遺産分割をしたいと思いますが、それにはどのような手続きをとったらよいのでしょうか。


 自筆証書による遺言書の場合は、遺言書の保管者または遺言書を発見した相続人は、遅滞なくこれを家庭裁判所に提出して検認を請求しなければなりません。封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人またはその代理人の立ち会いの上でなければ開封することができません。

 このような検認が必要とされるのは、相続人に遺言の存在とその内容を知らせること、遺言書の形状・加除訂正・日付・署名など、検認の日現在における遺言書の内容を明確にして、その偽造・変造を防ぐための手続きで証拠保全を図るものです。したがって、検認を受けたからといって、無効な遺言書が有効になるわけではないし、逆に有効な遺言書が無効となることもありません。

 遺言書の保管者や発見者が自分勝手に開封したり、検認を受けずに遺言を執行したような場合には、遺言そのものが無効となったり、遺言の執行が無効となることはありませんが、5万円以下の過料に処せられます。

 検認の手続きは、相続開始地(被相続人の住所地)の家庭裁判所に遺言書検認申立書を提出します。この申し立ては、遺言書の保管者または遺言書を発見した相続人(または代理人)がします。申し立て費用は、遺言書1通ごとに収入印紙800円と郵便切手約800円分(相続人が多い時は相当額を追加)が必要となります。添付書は申立人(代理人のときは委任状)、遺言者・相続人全員の戸籍謄本です。

 特に遺言者の戸籍謄本は相続人を確認するため、出生時から死亡時までのものが必要とされます。さらに遺言書の原本と遺言者の自筆を証明する書面を検認期日に提出することになります。裁判所が指定した期日に出席した相続人が検認し、裁判所がその旨、証明書を添付して終了となります。

弁護士 山下英幸
TEL:03-3508-0581

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