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土地を売らずに、分譲マンションを建てたい 新宿区/68歳男性 |
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わたしは150坪の土地を所有していて、そこを自宅と貸駐車場として利用していますが、年々土地の税金が高くなるので、もっと土地を有効活用したいと考えています。しかし、この土地は先祖伝来のもので、何代もここに住んでいるので売却したくない上にわたし自身も住宅が必要です。多額の借金もしたくありません。そこで土地を売らずに分譲マンションを建てて借地権付きで分譲したいと考えていますが、このような方法は認められるでしょうか。
借地借家法によると、「他の者と共に有することとなるときに限り」自分の土地に借地権を設定できると定めており、これを「自己借地権」といいます。この制度は借地権付きマンションを分譲する際にその手続きを簡単にするために設けられたものです。原則的には自分の土地に自分の権利を設定するということは、所有権の性質上認められないし、その必要もないのです。
ところが、「マンションを分譲するときに土地は処分したくない」とか「マンションを安い価額で分譲したい」というような場合には借地権付きとする必要があります。特に土地所有者もそのマンションの一部を借地権付きで取得したいときには、自己借地権の制度が必要となります。
というのは、マンションの借地権は、その敷地全体について設定されます。そして建物の各区分所有者は建物の敷地全体に対する借地権を建物の専有部分の面積割合に応じて取得することになります。したがって、分譲マンションの全部が一度に完売できれば、全員で共同して土地全体に対する借地権を設定することができます。しかし、一度に売れなくて順々に売れたり、売れ残りが出たり、あるいは地主が取得したい部屋があるような場合には、自己借地権が認められると、とても好都合です。自己借地権により、あなたが計画している借地権付きマンションの分譲は何ら問題ありません。
また、一度分譲した部屋をあなたが買い戻してもその部分の借地権は消滅することがありません。
弁護士 山下英幸
TEL:03-3508-0581 |
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