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居酒屋で口論、顔面を殴られた 足立区/57歳男性 |
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居酒屋で隣にいた30歳くらいのサラリーマン風の男性とささいなことで口論となりました。その男性にいきなり顔面を殴られ、前歯2本を折ってしまいました。歯の治療費や慰謝料の請求をしましたが、全く応じようとしないので、本で勉強した少額訴訟を起こし、「(加害男性は)30万円支払え」との判決を得ました。それでも支払いに応じないので、強制的に取り立てをしようと思っていますが、どんなものを差し押さえることができるでしょうか。
相手が所有している財産であれば、不動産はもちろんのこと、家財道具・美術品などの有体動産、それから給料や預金といった債権など、金銭に換えられるものはすべて差し押さえすることができます。しかし、相手本人や家族の最低限度の生活まで奪ってしまうことはできません。そこで法律(民事執行法)は、差し押さえができないものや、一定限度しか差し押さえが認められないものを規定しています。
それによりますと、相手や同居の親族にとって生活上必要不可欠な衣類、寝具、台所用品、電化製品(実務上)のほか、1カ月間の食料品などは差し押さえが禁止されています。これら以外にも恩給、国民年金、遺族年金なども、それぞれ法律で差し押さえが禁じられています。相手がサラリーマンなら給料も差し押さえることが可能ですが、給料は原則として、差し押さえられるのは4分の1です。これはいくら債務を負っていても最低限の生活まで壊すことはできないからです。
ただし、給料の4分の3に相当する金額が標準世帯の必要生活費を考慮して政令で定める金額より多いときは、政令で定める金額が差し押さえ禁止額となります。これは退職金やボーナスについても同様ですが、婚姻費用や養育費は2分の1となります。例えば、給料が月額44万円の場合は、その4分の3相当の33万円を残して11万円しか押さえることができません。それ以上の給料がある場合は、33万円を差し引いた残額全額を差し押さえることができます。
預金については制限がありませんが、相手に借入金がある場合は、預金と相殺されて差し押さえはできないことになります。
弁護士 山下英幸
TEL:03-3508-0581 |
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