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マンションの更新料 港区/35歳男性 |
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賃貸マンションに住んでいます。来年の3月末で2年の契約期間が満了となりますが、引き続き借りたいと思っています。契約書には契約を更新する場合には、更新料として賃料の1カ月分を支払うことになっています。最近判決が出て、このような契約は無効で更新料は支払わなくてもよいと聞きましたが、本当でしょうか。
【答】確かに、今年の7月には京都地裁で、そして8月には大阪高裁で、「建物の賃貸借契約を更新する場合に更新料の支払い義務を負う契約は、借り主が一方的に不利であるから、消費者契約法10条に該当し無効である」として支払い義務を否定する判決が出ました。
ところが10月29日に同じ大阪高裁で「更新料は礼金と同様に返還を前提としない、賃借権設定の対価の追加分ないし補充分に当たり、金額も低額であるため契約条項の押し付けとは認められない」として更新料特約を有効とする判決が出ました。
更新料をなぜ支払うかについては、いろいろな理由や説がありますが、いずれにしても賃借権の対価に当たるか否かということになると思います。地裁の段階では既に5つの無効判決が出ているとのことですが、高裁における相反する判決も、(背景にある)事実関係が異なるので一概に矛盾する判断とはいえないでしょう。
また、無効とした2つの判決はいずれも京都のケースで、特殊な土地柄という事情があります。聞くところによると、京都では契約期間は1年で、しかも更新料は通常の賃料の2カ月分となっており、敷金も東京より高額とのことです。これでは貸し主の一方的利益に偏り過ぎているので、東京の場合にもそのまま当てはまるとはいえないかもしれません。
高裁段階では確定した判決とはいえなくて、最高裁の判断を待たないと更新料を定めた契約が無効であるとは断言できないでしょう。
裁判所法によると、上級審の判断は、その事件については下級審を拘束する旨定めているので、ケースバイケースの判断もあり得ます。最高裁の判断はほかの事件についても事実上判例違反として拘束力を持つことになります。したがって、更新料については最高裁の判断が待たれるところです。それまでは確定的なことは申し上げられません。
弁護士 山下英幸
TEL:03-3508-0581 |
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